七十一年前、アジア太平洋戦争で日本が敗戦するまで、北緯五〇度以南は日本の領土だった樺太(からふと・現サハリン)の「過去や歴史」と「今」をたどるドキュメンタリー「誰も知らないカラフト物語~なぜ“宝の島”と呼ばれたのか~」が二十日(土)午後三時から同四時五十五分まで、BSフジで放送される。

 ガイド役を務めるのは、北海道出身で長野オリンピック・スピードスケートの金メダリスト、清水宏保(41)。清水の祖父は樺太の北海道拓殖銀行に勤務し、現地で結婚して清水の父親を育てた。父親を幼いころに失くした清水は、そのことを最近まで知らなかったという。自らのルーツを探して現在のサハリンを訪れた清水は、祖父や父が暮らした大泊(現コルサコフ)へ…、というのが番組の柱の一つ。

 サハリンには戦後、日本に帰ることが出来なかった日本人が少なからずいる。渡辺ハツエさん(78)もその一人。父親が事故で亡くなり、妹を身ごもっていた母親は、戦後の混乱の中で頼るあてもなく朝鮮人と結婚。樺太に残る道を選んだという。清水は、海の彼方に北海道の影が見える日もあるサハリン南端の小さな町に、日本からかすかに届くラジオの声を楽しみに生きる渡辺さんを訪ねる、というのが二つ目の柱。

 そして、敗戦間際、樺太を捨てて日本に逃げ帰った叔母(81)が「全財産を埋めてきた」という「宝物」を探しに行く男性に密着取材、果たして「宝物」は見つかるのか、というのが三つ目の柱。男性は旭川在住だそうだ。

 斜里町ウトロの出身だというBSフジの広報担当者は、「カラフトは北海道にお住いのご年配の方々の中には、身近な土地と感じる方も多いのではないかと思います。でも、若い世代の方には、まさに『近くて遠い』存在なのではないでしょうか。ぜひ、この番組を通して、北海道の皆様に『カラフト』の物語を感じていただければ嬉しいです」とPRしている。