東川町の大雪ライブラリー(北町一、文化芸術交流センター内)で故・高橋秀雄写真展「大雪山と人と」が開かれている。

 高橋さん(一九二四年~二〇〇二年)は旭川営林局の広報担当として、大雪山の写真を撮り続けた。それらの写真は二十年間制作されたカレンダー「大雪山の四季」や、写真集「大雪山と丘の四季」「大雪山の山、花」などに使われた。

 高橋さんが撮りためたリバーサルフィルムの一部、約八千枚が、このほど旭川の印刷会社・総北海で発見された。その中から、大雪ライブラリーに勤める西原義弘さんが、人物が映っている写真を中心に十七枚選び、全紙ほどの大きさにプリントした。

 西原さんは「現在は使われていない十勝岳国設スキー場の春スキーや旭岳の噴煙間近のスキーテント村、山開きの登山者の長い列など、今では見ることができない風景が写っています。また、浩宮皇太子殿下が旭岳から黒岳に縦走した写真もあります。この時、間宮岳頂上付近で、皇太子殿下にジンギスカンを食べていただいた秘話を紹介する新聞記事や郷土史も紹介しています」と話す。

 皇太子は、一九七九年(昭和五十四年)八月六日から八日にかけて、大雪山を縦走した。その折、役場幹部が「皇族の方はきっと召し上がった経験がないはず」と、間宮岳頂上付近でジンギスカンを焼き、そこを通るはずの皇太子に勧めようと計画。町長には内緒で準備を進めた。郷土史「ふるさと東川」には、「皇太子殿下は、肉を十切ほどお食べになったところで、『美味しかったです。ごちそうさま』と言われた」と報じた北海道新聞の記事が収録されている。

 展示会場には、元北海道山岳連盟会長の故・阿地政美さんが保管していた、今では手に入れることができないカレンダー「大雪山の四季」や写真集なども展示され、約八千枚のリバーサルフィルムもライトテーブルで見ることができる。

 写真展は十七日(日)まで。