「昨年と比べ三五%も増えたのには驚いたねぇ。こんなに伸びたのは初めてだ」と旭川浴場組合の熊谷清志組合長は笑顔で話す。

 二十二の銭湯が加盟する組合が毎年開催している「スタンプラリー」は、銭湯に入浴すると押印してくれるスタンプの数に応じて、景品がもらえる。今年は八月一日から十月三十一日まで、三カ月間行った。

 二十二店の銭湯全てを回った人は八十一人。前年が六十人だったから、三五%の伸びだ。今年は全銭湯を制覇すると、入浴券六枚のほか、ケロリンがデザインされた石けんとフェイスタオル、桶(おけ)がもらえる。

 「こんなにいるとは思わなかったので、予定していた景品が足りなくなって、前年まで余ってストックしていた景品を不足分に当てたんだ」と熊谷組合長は嬉しい悲鳴を上げる。

 スタンプラリーの景品は、熊谷さんが組合長に就任した翌年から、ケロリン・グッズに変えた。それまでの景品は入浴券だけだった。「全部回った人には十数枚の入浴券を贈った。そうすると数カ月間、組合員は減収になる。それを何とか避けようと思った」とその理由を説明する。

 景品について思い悩んでいる時、札幌の生活雑貨の店で見つけたのがケロリン・グッズだった。「これだ!」と思い、組合員に提案して了承を得た。以後、景品をケロリン・グッズに変えたことがきっかけで、年々スタンプラリーの参加者が増えたという。

 今年は全銭湯を四回りした人も出て、二、三回りした人も複数人になった。

 熊谷組合長が経営する菊の湯(神楽五ノ十四)に時々、ケロリンの桶とフェイスタオル持参の入浴客が訪れる。聞くといずれも複数回、全軒制覇している人だ。「一つは家に大事に保存してあって、残りを日常的に使っている」と得意気に説明してくれるという。

 熊谷組合長は「ケロリン・グッズは数をそろえるのがなかなか大変だが、出来る限り続けていく。スタンプラリーに多くの市民が参加してもらえるよう、これからも色々なアイデアを出していきたい」と話している。