長編叙事詩『飛ぶ橇』を旭西高演劇部9人が群読

 旭川ゆかりの詩人小熊秀雄(一九〇一―一九四〇)の作品を楽しむ朗読会「冬の詩(うた)2018」が二十八日午後二時から、喫茶「ブラジル」(三ノ八、3・8小路)で開かれる。

 市民にもっと小熊の作品に親しんでもらおうと、小熊秀雄賞市民実行委員会(橋爪弘敬会長)が四季に合わせて企画していて、十六回目の開催。

 今回は、旭川西高の演劇部員九人が、小熊の代表作の一つ、『飛ぶ橇』を群読する。一九三五年(昭和十年)に発表されたこの長編叙事詩には、「アイヌ民族の為めに」と副題がついている。

 第一章の書き出しは「冬が襲ってきた、他人に不意に平手で激しく、頬を打たれたときのように」。アイヌのイクバシュイ、日本名・四辻権太郎の物語は、二十四章、八百行におよぶ。圧倒的な量感を湛え、朗読に一時間を要する作品だ。

 本番を十日後に控えた十九日夕、会場となる喫茶ブラジルで、演劇部員たちがアマチュア劇団「劇天壌」を主宰する石井ひろみさんの指導を受けた。部員は女子生徒ばかり。この日は参加できなかった二人を除く七人。

 朗読は初めてという部員たちに、元プロの女優の石井さんのダメ出しの声が飛ぶ。「もっと元気に、明るく」「ネガティブだよ。声が上ずっている」「ドアを開けたら、ガッツーンとした冬が襲って来る、北海道人は知ってるじゃない」「もう一回、タイトルから行ってみよう」――。

 石井さんの熱い指導を受けて稽古を繰り返すうちに、高校生たちの出す声が明らかに変わって行く。本人たちも、その変化を感じ取る。彼女たちの朗読の声が、腹から出てくる。本番までに、どこまで「飛ぶ橇」のイメージを深められるか、だ。

 出演するのは、一年生の長谷川茉音、九嶋琴音、鈴木恵怜、辻七海、山崎流樹、後藤奈香、二年生の竹村瑠々伽、高橋莉子、藤田遊歩の九人(敬称略)。部長の竹村さん(17)は、「演劇は体を動かして、目でも表現できるけど、朗読は声だけ。とても難しいです。言葉で、声で、この詩を伝えられるようにがんばります」と目をキラキラさせて意気込みを話した。

 小熊秀雄朗読会「冬の詩 2018」の入場券は、七百円(コーヒーか紅茶付き、会員・高校生以下五百円)。こども冨貴堂(七条買物公園)、まちなか文化小屋(同)、あさひかわ新聞(八ノ六)などで扱っている。問い合わせは、あさひかわ新聞(TEL27―1577)へ。