おかだ紅雪庭(五ノ十六)の玄関広間に、歴史を感じさせるひな人形が飾られている。

 建物は一九三三年(昭和八年)、「清酒北の誉」の創設者岡田重次郎の邸宅として建設され、岡田家三代が居住した。取り壊しの危機を経て、二〇一一年に旧岡田邸200年財団(高橋富士子代表理事)が買い取り、現在はそばと日本料理の店としてお客を迎えている。

 ひな人形は、この建物で暮らした岡田美恵子さん(二〇一六年没)が、嫁ぐときに持ってきたもので、作られて百年近くは経っているという。昨年二月、東京の遺族から、おかだ紅雪庭に寄贈された。

 御簾(みす)の奥のお内裏様をはじめ人形は小ぶりだが、明治の職人の込めた丹精がしのばれる精巧なつくり。漆塗りのお膳や重箱などのお道具も、骨董美術品のような趣きだ。

 「恵美子さんがこの岡田邸から東京に移る時に、このひな人形は手放せずに持っていかれたとのことです。深い思い入れがあったのでしょう。またここに帰っていらしたことに、不思議な縁を感じます」と高橋さん。

 ひな人形は、三月三日まで飾られる。

 水曜日定休。営業時間などの問い合わせは、おかだ紅雪庭(TEL22―5570)へ。