第五十一回小熊秀雄賞の最終選考会が七日午後、市内高砂台の旅館・扇松園で行われた。全国から九十二点の応募があり、一次、二次選考を経て五点が最終選考会にノミネートされ、四人の選考委員が三時間に及ぶ論議を重ねた結果、今回は「該当作なし」という結論になった。

選考委員は、アーサー・ビナード(詩人・エッセイスト)、佐川亜紀(詩人)、堀川真(絵本作家・名寄市立大准教授)、松井晶彦(演出家)の四氏。主催する市民実行委員会(橋爪弘敬会長)の石川郁夫さんが司会を務めた。

三十人の会員が見守る中、最終選考会に進んだ五点の詩集について、委員それぞれが講評する形で進められた。二時間が経過し、司会が「否定的な指摘が多かった三点を議論の対象から外すことにしては」と提案した後、休憩。

再開された論議で、アーサー・ビナードさんが「比較ではなく、この詩集ならば僕が借りているマンションの大家さんにも、友達の子どもの高校生の娘にも、『これ面白いから読んでみて』と手渡せる詩集かどうかで決める。自分の小熊基準に達しているか、ということ」と口火を切り、松井さんも、「北国の、小熊が生きた風土や匂いを感じられる詩集に小熊賞を贈りたい。面白い詩集はあったが、今回は小熊賞にふさわしいものはなかった」と意見を述べ、佐川さん、堀川さんも悩みながら同調し、「該当作なし」という結論になった。

同賞は、旭川ゆかりの詩人・小熊秀雄の名を冠し、全国公募の現代詩の賞として、詩の世界では憧れの賞の一つ。市民実行委員会が運営を引き継いだ四十一回以降、「該当作なし」は二〇一二年、二〇一四年に次ぎ三回目となる。

予定していた贈呈式に代わり、五月十二日(土)午後三時から、旭川トーヨーホテル(七ノ七)で、「小熊秀雄フォーラム」的な集いを開催する。講師は『オバマ・グーグル』で第五十回小熊賞を受賞した、旭川出身の若き詩人山田亮太さん。そのほか、市民実行委が知恵を絞って、天才・小熊秀雄をもっと知るイベントを用意するとのこと。