映画「ハンナ・アーレント」(二〇一二年・百十四分)の上映会が二十三日(土)、サンアザレア(六ノ四、旭川建設労働者福祉センター)で開かれます。市民グループ、チーム「今だから」の主催。

第二次世界大戦中のドイツで、何百万人ものユダヤ人を収容所に送りこんだナチス戦犯アドルフ・アイヒマンが一九六〇年、イスラエルの諜報部・モサドによって逃亡先のアルゼンチンで逮捕された。

ユダヤ人哲学者ハンナ・アーレントは、世界が注目したアイヒマンの裁判の傍聴記『エルサレムのアイヒマン』をニューヨーカー誌から五回に分けて出版。その記事は激しい論争を巻き起こす。

アーレントは、ナチスによるホロコーストのような犯罪は、狂信者や変質者によって生まれるのではなく、ごく普通に生きていると思い込んでいる凡庸な一般人によって引き起こされるという、アイヒマンの「悪の凡庸さ」を主張。おまけに、六百万人のユダヤ人の強制収容所への移送にはユダヤ人自身の組織が協力していたと公表し、世界から激しいバッシング受ける。

一九〇六年ドイツに生まれ、ナチスが政権を取ったのちにフランスに逃れて捕まり、強制収容所から脱出、アメリカに亡命した過去を持つアーレントの波乱に満ちた人生を実話に基づいて映画化した作品だ。

上からの命令に忠実に従っただけだと無罪を主張したアイヒマンは、一九六二年、絞首刑に処せられた。ナチス・ドイツの大量虐殺はなぜ、起きたのか。私たち日本人もまた、「悪の凡庸さ」を問い直さなければならない。

上映は①午前十時、②午後二時、③午後七時の三回。

前売り券は、千円(当日千二百円)。大学生・障がい者五百円。高校生以下は無料。こども冨貴堂(七条買物公園・TEL25―3169)で扱っている。