アイヌの少年とクマをめぐる物語「クマと少年」がブロンズ新社(東京)から出版されました。作者は、本紙に「新・どうぶつえん物語」を連載している、旭川在住の絵本作家・あべ弘士さんです。

お母さんのおっぱいを一緒に飲んで、本当の兄弟のように育った少年とクマのキムルン。一緒に野の花で遊び、虫や魚を追いかけました。やがてキムルンは、クマに神の国へ帰ってもらう儀式「イオマンテ」のクマに決まり、おりで暮らすようになりますが…。

山の神であるクマと、アイヌの少年をめぐる壮大ないのちの物語が、あべさんの大胆かつ繊細な独特のタッチで描かれています。

旭川市で生まれ育ち、アイヌの人たちの生活を間近で感じてきたあべさんが、四十年思いをめぐらせてきた物語です。あとがきにも、ヒグマやアイヌ民族への思いがつづられています。

二十一日(土)から、原画展 初日にオープニングトーク

この絵本の原画展が二十一日(土)から、ギャラリープルプル(七条買物公園)で始まります。九月一日(土)までの午前十時から午後六時。入場無料。月・火曜日休み。

初日の二十一日午後三時半から、道教大岩見沢校教授で彫刻家の坂巻正美さんを迎えたトークイベントが開かれます。

坂巻さんは、制作拠点の北海道におけるアイヌや東北地方のマタギ、民俗芸能、北方先住民の伝統文化についてフィールドワークを行い、場所や歴史性、人と自然の関係をモチーフとした作品を発表しています。

坂巻さんとあべさんがクマやアイヌをテーマに、午後五時までトークを繰り広げます。参加無料。予約不要。

問い合わせは同ギャラリー(TEL73―8289)へ。


お母さんのおっぱいを一緒にのむ少年とキムルン=あべ弘士『クマと少年』(ブロンズ新社)より