芥川賞受賞作家で世界的に知られる安部公房(一九二四―一九九三)の作品「おばあさんは魔法つかい」の朗読会が夏休み中の一日、近文第一小学校(今井一也校長)で行われ、一年生から四年生までの二十三人が集まった。東鷹栖安部公房の会(高見一典会長)の主催。

 安部公房は両親が旭川出身だったことから、二年生から三年生までの二年間、同小の前身・東鷹栖村近文第一尋常小学校に通った。公房の会は、二〇一四年(平成二十六年)、同小に「故郷憧憬」と刻まれた石碑を建立している。

 また同会は、「公房の足跡が残る小学校で朗読会を」と一六年から、夏休みに朗読会を開催している。一回目は「くぶりろんごすてなむい」、二回目は「豚とこうもり傘とお化け」だった。三回目のこの作品は、NHKのラジオドラマの脚本として一九五八年に書かれた。スクリーンに映し出された絵本の画像を背景に、会員四人が朗読した。

 「おばあさんは魔法使いになったのでは…」と心配する兄・和夫と妹・とし子、そしておばあさんの三人の会話を中心に物語が展開する。

 おばあさん役は前会長の森田庄一さん、和夫役は木暮純さん、とし子役は佐藤道子さん、父やその他大勢役は柴田望さんが演じた。

 約四十五分間、子どもたちは静かに聞き入り、「おわり」の声とともに拍手が沸き起こった。

 柴田さんは「来年も、また夏休みに朗読会をしたいと思っています」と話した。公房の会は同校のほか、東鷹栖公民館、中央図書館でも朗読会を行っている。