西川徹郎記念文學館(七ノ八)が七月、学術研究誌『西川徹郎研究』を創刊した。年一回の発行を目安としている。第一集には西川徹郎、森村誠一、梅原猛、加賀乙彦、立松和平など、作家、評論家による多数の書下ろし論文や既発表の論文の転載、書簡などが収録されている。

 第一集は、主として三本の特集から成っている。特集一は、同館が社会教育事業の一環として主催する「新城峠大學文藝講座」の講演を収録したものだ。二〇一四年(平成二十六年)五月の森村誠一氏による講演、一七年(同二十九年)七月の小林孝𠮷氏による講演が完全収録されている。

 特集二には、『西川徹郎青春歌集―十代作品集』から百七十首を自選して掲載。同書に対する解説文や感想文を野家啓一、綾目広治、森井マスミ、また同館館長の斎藤冬海が寄せている。

 特集三は、「西川徹郎と宮澤賢治」。賢治研究者の私市保彦が両者を比較して論じている。

 創刊について、斎藤冬海館長は「作家個人を対象とした学術研究誌の創刊は、明治以来百五十年の北海道文学の歴史の中で初めてだ。全国的には中原中也記念館(山口県山口市)の『中原中也研究』や宮沢賢治学会イーハトーブ館(岩手県花巻市)の会報があるが、その他の文学館で発行しているのはエッセイなどが数篇掲載されたパンフレット的なものが多い」とした上で、「最近は観光的な側面に力点を置く文学館が全国各地で多いが、博物館法が定める通り、本来の文学館の役割は、資料の蒐集保存と公開、学術研究と研究書の発行だ」と創刊の意義を話している。

 A5判、百五十二ページ。二千五百円(税別)。全国の主要書店のほか、同館でも販売している。問い合わせは同館(TEL25―8700)へ。