旭川兵村記念館(東旭川南一ノ六)の講演会「屯田兵絵物語原画綴から学ぶ」が九月九日(日)午後一時半から、同館で行われます。講師は、同館友の会会長の芦原高穂さん(旭川神社宮司)です。

 「屯田兵絵物語」は、絵図二百二十一枚と四百字詰め原稿用紙百八十八枚の説明原稿からなる冊子。作者の廣澤徳治郎は、一八九二年(明治二十五年)に大分県中津市から家族五人とともに旭川兵村に入植した屯田兵です。日清戦争、日露戦争に従軍。俳句や絵画、彫刻、陶芸をたしなんだほか、茶華道を教授する文化人でした。一九四九年(昭和二十四年)に東旭川で死去しています。

 絵図は大正末期から昭和十六年以前にかけて描かれ、説明原稿は昭和十八~十九年に執筆したと推測されています。大分県から入植した一団が、小樽に上陸してから旭川兵村へ入植するまでの様子をはじめ、兵村での開拓、訓練、生活などを細かく記録しています。序文には「誰もが一目で理解できるように絵で表現した」(原文は文語体)と、廣澤の制作への思いが記されています。

 同資料は一九八一年(昭和五十六年)、旭川市の文化財(歴史資料)として「屯田物語原画綴」の名称で、「旭川兵村中隊記録(百二十一冊)」とともに指定されています。

 後に廣澤は、完成させた屯田兵絵物語をもとに、その絵図を拡大して明瞭にしようと「屯田絵巻」を制作しました。廣澤が亡くなった当時、四つの束の状態で残されていた絵を、七九年(同五十四年)に兵村記念館が寄贈を受け、四巻の絵巻に仕上げました。二〇一六年(平成二十八年)、絵巻四巻と「屯田兵絵物語」は道の有形文化財(歴史資料)に指定されています。

 芦原さんは「屯田兵だった廣澤が後世に何を伝えたかったか、彼の自然や人々に対する思いを読み解きます。原画綴と絵巻で違うモチーフが描かれているなど、興味深い点もあります。原画綴と絵巻以外の資料も交え、紹介したいと考えています」と話しています。

 参加無料。申し込み不要です。問い合わせは旭川兵村記念館(TEL36―2323)へ。