会員制の観劇団体「旭川市民劇場」の二〇一九年ラインアップが決まった。二月の劇団文化座『三婆』から、十二月の劇団民芸『集金旅行』までの六公演。いずれも見逃せない舞台ばかりだ。

 二月例会(二十七日(水)・二十八日(木))は、劇団文化座の『三婆』。有吉佐和子原作、小幡欣治脚本の名作だ。旭川では一九七八年、一九八八年に上演され、三十一年ぶりの舞台となる。出演は、佐々木愛、有賀ひろみ、阿部敦子ら。

 時は一九六三年(昭和三十八年)。金融業者の武市浩蔵は、神楽坂の妾・駒代の家で急死する。四十九日を過ぎ、目黒にある本妻・松子の家にも平穏が戻りつつある。それもつかの間、浩蔵の妹・タキが兄の家に住むのは当然と押し掛けて来た。さらに駒代も新橋の料理屋の普請が済むまで部屋を貸してほしいと、これまた居座ってしまう。互いに陰口をきいている本妻と妾、小姑の〝三婆〟が、一つ屋根の下に同居することに…。

 老いというテーマを内包しながら、笑いとともに舞台は進行する。笑いの中に、人間の孤独と悲しみ、人とのつながりという人間の本質的なあり方が問われ、観客の心に迫る。「人生百年時代の到来」と煽られる私たちに、現実はどんな老後を用意しているのだろう――。

 以降の例会は次の通り(会場はいずれも常磐公園の市公会堂)。

 ▽四月例会(九日(火)・十日(水))劇団NLTプロデュース『ミュージカル O.G.』▽六月例会(十七日(月)・十八日(火))テアトル・エコー『もやしの唄』▽九月例会(六日(金)・七日(土))劇団俳優座『八月に乾杯!』▽十一月例会(五日(火)・六日(水))前進座『柳橋物語』▽十二月例会(十二日(木)・十三日(金))劇団民芸『集金旅行』

 市民劇場の会員になると、年六回演劇を鑑賞できる。入会金は二千円、月会費は一般二千五百円、大学生千円、高校生以下五百円。毎回一日目が夜公演(午後六時半から)、二日目が昼公演(午後一時半から)。例会は会員の手で運営され、俳優やスタッフとの交流会もある。

 問い合わせは、事務局(市内三ノ八緑橋ビル一号館二階・TEL23―1655)へ。