第二十七回旭川しんきん産業振興奨励賞の表彰式が十二日、旭川信用金庫本店で行われた。

 一般財団法人旭川しんきん地域振興基金(原田直彦理事長)が一九九二年(平成四年)に創設し、旭川と富良野地区で、新技術・新商品、新サービス・新デザインなどの開発により産業振興に貢献した事業者を表彰している。今年度は九点の応募の中から三点が選ばれた。

 受賞したのは、工房・灯のたね(井上寛之代表、市内東七ノ二)、北日本重量(影本秀基社長、市内永山北二ノ八)、uno(うの・奥村一美社長、富良野市字清水山)の三事業者。

 工房・灯のたねは、「北海道産トドマツの新たな用途として工芸品への応用」が授賞の対象。従来は建材として使用されていたトドマツ材をシェードに使った照明器具灯を製作した。トドマツ材を透けるほどの薄さに加工するのは難しく、材料の知識と卓越した技術が必要。真似のできない新規性、独創性に優れた製品であることが認められた。製品の一部は、海外に輸出もしている。

 北日本重量は、「油圧式重量物移動装置の開発~コロ曳からの脱却~」が授賞した。大型重量物の移動工法は「コロ曳」が主流だったが、重労働で危険が潜在し、経験を要するため後継者不足が深刻だ。事故要因となるコロ棒とワイヤー断裂などで人災を招くウインチを排除し、低摩擦係数のスライドプレートと油圧シリンダーを採用。リモコン操作でワンマン移動も可能になった。北電のほか本州の電力会社で採用されている。

 うのは、「自立型透明キャンドルの新素材・グミワックスの開発」が認められた。キャンドルに使われるワックスは画一化されていて、二〇〇〇年代に新開発されたジェル状ワックスも容器に流し込む方法に限定されていた。グミワックスは、国産の原料による、氷やガラスのような高い透明性と弾力がある感触、容器に入れずに自立して灯すことができる新しい、匂いやススの少ないキャンドル素材。国内にとどまらず、海外への新たなキャンドル市場の創出、規模拡大が期待されると評価された。

 式では、審査委員長の竹中英泰・旭大名誉教授が授賞した三点を講評。原田理事長が賞状と盾、賞金三十万円を贈った。北日本重量の影本社長は急きょ欠席した。