今年三月で店を閉じた春光台のホリイ薬局店先で、長年お客さんを迎えていた佐藤製薬のゾウを模したマスコット人形「サトちゃん」など五体が三月二十六日、知的障がい者の横山篤志さん(42)=富良野市在住=にプレゼントされた。

 薬局を経営してきた堀井肇さん(78)・友江さん(75)夫妻は、新聞記事で、紙でサトちゃん人形を作っている横山さんのことを知り、店を閉める時には「創作活動に役立ててもらえれば」と譲ろうと決めていた。

 横山さんは、二十年以上前から、紙でサトちゃん人形を作ってきた。車などで出かけ、薬局の前にある人形の姿をしっかり頭に焼き付けて、新聞の折込チラシなどを使って作る。障がいを持つ作家を紹介する、国内の様々なミュージアムでも作品が紹介されるほどの腕前だ。

 堀井さん夫婦が贈ったのは高さ約九十㌢の「サトちゃん」と、妹の「サトコちゃん」など五体。横山さんと一緒に母親の信子さんも堀井さんの元を訪ね、“本物”のサトちゃんを受け取った。

 ホリイ薬局は一九六五年十一月に開店した。住民に親しまれてきたが、後継者がいないことから、半世紀にわたる営業を終えた。堀井さんは「二代目のサトちゃんだと思いますが、一番良い人のところに行ってもらえます」、友江さんは「横山さんが、これを見ながら作品を作ってくれたら嬉しいですね」と笑顔で話していた。