旭川では初となるフィリピン家庭料理の店「コシナデマリア」が、七条八丁目にオープンして一カ月半が過ぎた。「コシナデマリア」はスペイン語で「マリアの台所」の意味。旭川在住二十年以上になる、フィリピン・セブ島出身のレブレ・マリアさん(47)が腕をふるう。フィリピン出身者だけでなく、異国の味に興味を持った日本人も店を訪れる。家庭料理の味わいやマリアさんの明るい人柄にひかれ、通う人も多い。

 マリアさんは大学卒業後、知人の紹介で知り合った日本人男性と結婚するために来日し、旭川に住み始めた。旭川に来たときの印象は「『寒い』でした」と笑う。二人の子どもを育てながら飲食店などで働いた。

 小学生の頃から実家で母親が営む食堂を手伝っていたマリアさんは、料理好き。家族はフィリピン料理を食べないため、家ではほとんど作っていなかったが、二年ほど前から「家の外には、フィリピンの家庭料理を食べたい人がいるのでは」と、食堂を開きたいと考えるようになった。

 フィリピン料理を知らない人に、どうやって味を知ってもらうか――そんなことを考えながら、家で総菜やスイーツを作り、友人や知人に食べてもらって反応を確かめた。だんだんと作る量が多くなり、また、評判もよかったことから、本格的に店を始める準備に入り、今年六月十一日にオープンした。

 メニューにはフィリピン家庭料理(七百円から)のほか、とんかつや生姜焼きといった日本食のセット(五百円)も並ぶ。日本食の価格設定には、「まずはお店に来てもらって、次にフィリピン料理に興味を持ってもらえれば」と話す。平日の午後四時からと土曜日は、惣菜の販売も行う。

 フィリピンの家庭料理を届けたいと店を始めたマリアさんは「最初は口に合うかなと心配もありましたが、みなさん、残さないで食べてくれます。がんばって続けていきたいですね」と笑顔で話した。

 午前十一時から午後十時、土日は正午から午後四時。八月からは営業時間が変わる。