「道北地域経営者のための事業継承セミナー」が四日、道北経済センター(常盤通一)で行われた。M&A(買収と合併)に関心のある経営者ら約五十人が参加した。旭川商工会議所の主催。

 株を譲渡して、二〇一八年にM&Aを行ったイガラシ工事測量(旭川)の元社長・五十嵐健二さんが体験談を語った。同社は一九八〇年創業。ゼネコンからの発注を受け、トンネル工事の測量を専門にしている。

 五十嵐さんは「七十歳に入り、体力の衰えを感じて、後継を長男にと考えたが、答えは『ノー』だった。社員への承継も考えたが、無理と判断した。業績が順調なうちにM&Aする以外に道はないと思い決断した」と動機を語った。

 M&Aを専門に行っている日本M&Aセミナー(東京)に依頼。幅広い業種の中から五十嵐さんが譲渡相手先として選んだのは、谷口板金工業所(滝川・谷口正樹社長)だった。その理由を、「異業種の方が取引先のネットワークを拡大でき、当社の従業員を大事にしてもらえるのではと考えた」と説明した。一七年十二月、谷口社長と面会し、翌年二月に調印に漕ぎつけた。

 参加者からは、「経費はいくらぐらいかかったか」と質問が出た。同センターのコンサルタント戦略営業部の社員は「総資産の額によるが、おおざっぱに一千万円単位」と答えた。

 セミナーの冒頭、「事業継承の『ハードル』と『対策』」と題し、小城会計事務所の税理士・増田弘志さんが、「法人版事業継承税制特例措置」などについて、説明した。