ドキュメンタリー映画の名作『阿賀に生きる』(一九九二年・佐藤真監督・百十五分)の上映会と、映画の製作発起人・旗野秀人さんのトークが二十九日(日)、まちなかぶんか小屋(七ノ七 買物公園)で開かれます。実行委員会(斉藤知子代表)の主催。

 一九六五年、新潟県阿賀野川下流域で発生した「新潟水俣病」。映画の主役は、そこで生きる三組の老夫婦。かつてはサケ漁の名人で田んぼを守り続ける長谷川芳男さんとミヤエさん、二百隻以上の川舟を造ってきた誇り高き舟大工・遠藤武さんとミキさん、餅つき職人で仲良し夫婦の加藤作ニさんとキソさん。

 佐藤監督ら七人のスタッフは、三年にわたり川の流域に住み込み、田植えを手伝い、酒を酌み交わし、阿賀の人々の暮らしに溶け込んでカメラを回し続けました。生きる喜びにあふれた豊かな暮らしが写し撮られた生の記録は、新潟水俣病という社会的なテーマを根底に据えながらも、そこからはみ出す人間の命の賛歌を丸ごと収め、世界中に大きな感動を与えました。

 映画の仕掛け人の旗野さんは、一九五〇年、阿賀野市生まれ。家業の大工を継ぐ傍ら、新潟水俣病の未認定患者の運動に取り組みます。運動の中で故郷や患者の魅力に気付き、一九八四年に佐藤監督と出合ってドキュメンタリーの製作を仕掛けます。「阿賀に生きるファンクラブ」事務局や「冥土のみやげ企画」を主宰、映画上映、温泉旅行の企画など水俣病問題を文化運動として展開して現在に至ります。

 上映は、①午前十時から、②午後三時からの二回。上映後に旗野さんのトークがあります。

 斉藤実行委員長は、「自然と共に生きる人間の力強さを描いた『阿賀に生きる』と、個に寄り添い、とことん楽しく負の出来事を乗り越える旗野さんの活動から、本当に豊かな暮らしとは何かを考え、これからの未来のために伝えたい、つなげたいと思います。映画そのままの人柄の旗野さんに、ぜひ会いに来てください」と呼び掛けています。

 前売りチケットは、千三百円。大学生と障がいがある人は五百円。高校生以下は無料。当日は二百円増しです。こども冨貴堂(七条買物公園)、まちなかぶんか小屋、ギャラリー喫茶遇里夢(東光五ノ四)で扱っています。

 終了後の午後六時半から、同会場で交流会を行います。参加費は千円。持ち込み歓迎。

 チケットの予約・問い合わせは斉藤さん(TEL090―7659―0997)へ。