荒井建設(荒井保明社長)が『百二十年史』を刊行した。同社は一八九四年(明治二十七年)、荒井初一氏が米穀卸売業「荒井商店」を創業したのが始まり。

 「荒井商店の創業後の発展には目を見張るものがあり、それは初一の商売への長けた技量と才能があったことと惜しみない努力と熱い情熱を注いだ事ではあるが、なにより荒井商店創業後の旭川には歴史的な発展があった事に外ならないからである」と創業当時の時代背景をあげる。具体的には、九六年(同二十九年)の第七師団創設と師団建設に関わる作業関係者やそれを相手に商売を営む人たちの旭川への流入、九八年(同三十一年)、旭川までの鉄道延伸と旭川を拠点とした天塩線(現宗谷線)、十勝線(現富良野線)、ルベシベ線(現石北線)の延伸工事などだった。荒井商店(後に荒井合名会社、荒井建設へと移行)は創業以降、多岐にわたる分野で事業を手掛けてきた。

 約千四百ページにおよぶ社史は、①創業前史(荒井家の由緒・系譜など)、②創業期(創業者・初一について)、③初一、公職の足跡と生涯(政治、商工会議所、建設業協会に関わった生涯)、④層雲峡(層雲閣の経営)、⑤荒井と金融・保険業の歴史、⑥荒井と酒造業の歴史、⑦荒井と電気事業の歴史、⑧荒井と運送業の歴史、⑨荒井と鉱業の歴史、⑩荒井と建設業の歴史、⑪荒井と慰霊碑の歴史、⑫関連会社の歴史、⑬資料編の十三章からなる。そのうち建設業は半分の約七百ページを占める。

 社史は「出来る限り『メイドイン荒井』の社史を目指し、外部委託は印刷と製本業務の最小限に止め、調査・執筆・構成・編集等も社史編纂室で行うこととし、その編纂室には社内より六名を選び編纂業務の委嘱をおこなった」と「あとがき」にある。

 十一月、荒井社長が市役所を訪れ西川将人市長に社史を寄贈した。市内の各図書館で閲覧することができる。