映画「夜明け前―呉秀三(くれ しゅうぞう)と無名の精神障害者の百年」の上映と、パネル展「私宅監置と日本の精神医療史」が二月九日(日)午後一時から、市民活動交流センター(宮前一ノ三)ホールで行われます。旭川精神障害者家族連合会の主催。

 きょうされん(旧・共同作業所全国連絡会)は創立四十周年の記念事業として、障がい福祉に理解を深めてもらおうと、この映画を「星に語りて―Starry Sky」とともに全国で上映運動を進めました。道北地方でもきょうされん加盟事業所を中心に実行委員会を結成。一八年から一九年にかけて、それぞれ二回上映しました。

 家族連合会も上映運動に参加しましたが、さらに多くの市民に「夜明け前…」を観てもらいたいと企画しました。

 呉秀三は一八六五年生れ。精神科医として日本の精神病学の基礎を築きました。論文「精神病者私宅監置ノ実況及ビ其ノ統計的観察」で「我が国の精神病者は病を受けたる不幸と、この国に生まれたる不幸を重ぬるもの」と記しています。

 映画は、呉の活動や明治から大正時代にかけての精神病治療の水準の低さ、そして昭和時代には優生保護法のもと、ハンセン病や知的障がい、精神障がいの人たちへの妊娠中絶や不妊手術などの実態を映し出します。

 精神病への理解や有効な治療法がなかった時代に、家族が患者を自宅の座敷牢に閉じ込める「私宅監置」がありました。パネル展は、愛知県立大学の橋本明教授の調査・研究で明らかになった「私宅監置」の写真などをホール内に展示します。

 上映会後、橋本教授の解説があり、その後、参加者による意見交流会が開かれます。主催者は「明治から令和まで続く精神障がい者に対する偏見と差別の実態に触れ、精神障がい者が地域で暮らしていくための理解を深めていただきたい」と話しています。

 参加無料。映画の上映は、午後一時半から二時半まで。その後、交流会が行われます。

 問い合わせは、家族連合会の五十嵐さん(TEL090―1861―0794)へ。