一月に行われた日本学校農業クラブ北海道連盟主催の全道実績発表大会で、旭川農業高校のグループが最優秀賞を獲得し、全国大会(十月・静岡)への出場を決めた。

 最優秀賞に輝いたのは、同高森林科学科の髙橋音乃さん(三年)、河田紅華さん(同)、髙嶋優斗さん(二年)、三浦麻代さん(同)のグループが分野Ⅱ類で発表したプロジェクト「『音』をキーワードにした木育の推進~アクセシブルデザイン・スロープトイの開発と公開~」。全道大会では、Ⅰ類(生産・流通・経営)、Ⅱ類(開発・保全・創造)、Ⅲ類(ヒューマンサービス)の三分野で各十四組、計四十二組が発表した。

 森林科学科では、地元の子どもたちに森林や地場産業への理解を深めてもらいたいと、幼稚園での「木育教室」や、地域イベントでのワークショップなど、木育活動に取り組んでいる。その中で「球を入れるだけでメロディを奏でる木のおもちゃがあれば、もっと気軽に木に親しんでもらえるのでは」と考え、スロープトイの開発に取りかかった。

 初めに、活動を共にした経験のある、家具職人集団「アイスプロジェクト」のリーダー・小助川泰介さんを訪ね、木材の加工法などのアドバイスをもらい研究をスタートさせた。転がる速さやテンポの保ち方、鍵盤の音階の合わせ方などを試行錯誤して、第一号が完成。その後も、背が低い子どもでも遊べるようにと木球の投入口を低い位置に設置したほか、誤飲防止のため木球のサイズを大きくするなど、いくつもの改良を重ねた。改良の過程では、幼稚園に持ち込んで実際に子どもたちに遊んでもらい、声を聞くなどもしたという。

 髙橋さんは、「このスロープトイは、誰でも使いやすい“アクセシブルデザイン”を心がけている。それがかなうデザインとはどのようなものかを考えるのが難しい」と話す。

 二〇一九年六月の旭川デザインウィークで展示した際に、「商品化したら買いたい」など、九八%が好意的な反応だった。日本森林学会大会の高校生ポスター発表や、浦和大学のおもちゃコンテストで最優秀賞を受賞するなど、外部での評価も高い。

 十月の全国大会では、二年生の髙嶋さん、三浦さんが引き継ぎ、新たなメンバーを加えて発表に挑む。髙橋さんは「さらにアクセシブルデザインを追求していけたら良いと思う。そして、自分たちが研究できなかった商品価値などについて調査を進めて欲しい」と期待する。髙嶋さんは「まずは現状抱えている課題を解決する。そのうえで、自分たちがさらにブラッシュアップさせていきたい」と意気込みを話した。