髙砂酒造(宮下十七)の蔵人たちが二十三日、美瑛町美馬牛の山中で、雪の中から原酒を入れたタンクを掘り出す作業に汗を流した。

 「雪中貯蔵」は搾りたての原酒をタンクごと雪の中に埋めて、約百日間低温熟成させる、北国ならではの貯蔵法だ。タンクが雪に覆われるため、タンク内の温度がマイナス一℃前後に保たれる。この貯蔵法で熟成された酒は、通常の熟成方法よりもまろやかな仕上がりになるという。同社では九七年(平成九年)から毎冬行っている。

 今年は一月十一日に七㌔㍑のタンク二本にそれぞれ「純米酒 大雪」、「純米吟醸酒 大雪」を詰めて、雪囲いをおこなった。当初は百日間貯蔵して掘り出す予定だったが、今年は雪が少なく、さらに雪解けが早かったことから七十三日間の貯蔵となったこの日、九人の蔵人が手作業で掘り出した。

 タンクが掘り起こされさっそく利き酒をした同社の杜氏・森本良久さん(51)は、「雪が少ない状況でスタートが遅れ、掘り出しも早まったため心配していましたが、しっかりと熟成が進んで期待通りの酒に仕上がりました」と自信をのぞかせた。

 二種の酒は加水され瓶詰めされた後に、「純米酒 大雪」は四月二十四日(金)から、「純米吟醸酒 大雪」は五月二十九日(金)から、それぞれ道内限定で順次店頭に並ぶ予定だ。