市内のボランティア団体「旭川ALL FOR ONEプロジェクト」が、政府から配布される布マスクを使う予定のない人に、提供を呼びかけている。

 同プロジェクトは、新型コロナウイルス感染症が拡大する状況の中、「困っている人を助けたい」という思いを持つ市民ら三十人ほどが集まりスタートした。マスクを必要としている人のために、メンバーらが布マスクを手づくりしており、最初に完成した二百枚は、市子育て支援部母子健康課などに寄贈して、妊婦に届けられる予定だという。

 代表の菊地侑子さん(31)は「もともと旭川のまちづくりに関心があり、同じような考え方を持つ同年代の人が身近におらず、自分が発信することで、少しでも興味をもってもらいたいと考え活動していました。そのような経緯もあり、今回、みなさんから選んでいただいて代表を務めています。自分たちにできることが、困っている誰かの助けになれば」と話す。

 また、プロジェクトが進行する中で、全世帯に二枚ずつマスクを配布する国の政策が決まり、「二枚では意味がない」「必要ないから受け取りを拒否する」など、否定的な意見も多く見られた。それなら、マスクを使わない人から集めて、本当に必要な人に届けようと、マスク回収の取り組みが始まった。

 菊地さんの呼びかけに賛同した飲食店など、市内四十カ所以上の店舗や施設で、マスク回収用のボックスを設置している。中には、市外や道外から同様の取り組みをしたいという連絡も来ているという。

 マスクの回収期間は、市内の各世帯に届き始めてから二週間ほどを予定。回収したマスクは検品の後、市教委を通じて市内小中学校の保健室に届けられる予定だ。

 また、マスクの取り組み以外にも、新型コロナウイルス感染症の対応に尽力している、医療や関連業界の従事者に向けた感謝と応援のメッセージを募り、一日から道新「ななかまど」などに掲載している(募集は終了)。

 菊地さんは、「たくさんの方々に協力いただいて、ここまできました。今行っている活動を、一つひとつ形にしていきたいと思っています。また現在の状況は、改めてまちのことを考えるきっかけになると思います。まちが良くなるには、もっとみんなが協力し合うべきです。そして、一人ひとりが自分の住むまちに関心を持ち、行動する人がどんどん増えていくといいですね」と話す。

 現在、布マスク製作のボランティアを募集している。希望する人は、同プロジェクト(メール asahikawa.allforone.project@gmail.com)へ連絡を。