日本酒の専門店「酒守蔵(しゅもぞう)」が二日、複合型シェアオフィス「北王ラボ」(市内大町二ノ六)一階にオープンした。

 販売するのはほとんどが日本酒で、旭川初上陸の銘柄など、社長の白幡由紀子さん(44)が独自の目線で厳選した酒がそろう。オープンのタイミングでは、道内のほか、関西の蔵の酒が中心だが、今後は旭川市内の酒も取り扱うという。

 白幡さんは「和酒角打 うえ田舎」(市内四条買物公園)の店長を約一年間務めるうちに、開業への思いが強まっていったという。「国内には日本酒の蔵を守るシステムがありません。新型コロナなどの影響から、青森県で最も歴史のある蔵が破産してしまったこともあり、改めてその必要性を感じました。また、職人さんは日本酒を造るのはもちろんプロフェッショナルですが、小規模な蔵では、営業やマーケティングなどにまで手が回らないのが現状です。どれだけ力になれるか分かりませんが、全国各地にある蔵を応援する仕組みを、これからつくっていきたい」と話す。

 店に並ぶのは、多くの商品を寝かせてから熟成酒として出荷する木下酒造(京都)の「玉川」各種のほか、木花之醸造所(東京)のどぶろく「ハナグモリ」、城陽酒造(京都)の日本酒ベースの梅酒「青谷の梅」など、どれもが珍しい酒。そのほか、「冨田ファーム」(興部町)のチーズや、旭川市内の珍味専門店「小林」(三ノ十四)の珍味も取りそろえる。

 さらには、大雪窯や千尋窯(ともに市内旭岡)の片口やぐい飲みなどの酒器も酒と共に販売する。「酒器でお酒の味わいが変わります。市内に素晴らしい窯があることも知ってほしいので」と白幡さん。

 また同店では、全国でも珍しい、店頭での日本酒のサブスクリプション方式のサービスを行う。月額五千五百円を支払い、同店オリジナルボトルを持参すると一日一回、日替わりの酒三種のうち一種を持ち帰れる。九月中は、通常千二百円のオリジナルボトルを五百円で購入できる。「馴染みのない蔵の日本酒の味を、市内のみなさんにたくさん楽しんでもらえたら」と白幡さんは呼びかける。

 営業時間は正午~午後七時。日曜・祝日定休。