美瑛在住の写真家、菊地晴夫さん(66)が写真集『マサルの子育て日記』を出版した。キタキツネのお母さんマサルと子どものソラとウミを二カ月にわたり撮影した可愛らしい写真と、美瑛の美しい自然が楽しめる。

 風景をメインに撮影している菊地さんがキツネを撮影するきっかけとなったのは、度々自宅前の納屋に子育て中のキツネがやってくるのを目にしてだ。「おそらく毎回違うキツネの親子だとは思うんですが、納屋にキツネが子育てにやって来るのは、これが三回目です。母キツネに『マサル』、子キツネ二匹にそれぞれ『ソラ』と『ウミ』と名付けて二カ月撮影しました」と菊地さん。コロナ禍で撮影会などが開けない時期に、キタキツネの三度目の子育てが始まり、この機会に本格的に撮影してみようと思い立った。

 菊地さんは「最初は本にする予定はなかったんですが、二カ月ずっと見ていたから、だんだん愛着が湧いてしまって…。マサル親子の触れ合いを見ていると、どんな生き物でも親子の愛情は変わらないと、改めて実感しました。それに、写真を見た人たちが気に入ってくれて、いい機会だから、と写真集を出すことにしたんです」と出版に至った経緯を話す。

 子ギツネは小さいころはこげ茶色で、その色が見られるのは二週間程度と短い期間。「可愛くて貴重な姿」だと菊地さんは話す。写真集にはその貴重な時期のソラとウミの写真もたくさん収められている。

 また、写真集にはQRコードの表示があり、スマートフォンなどで読み込むとマサルたちの生き生きとした動画を見ることもできる。

 巻末ではエキノコックスや、野生動物への餌付けの問題についても触れている。菊地さんは「道内の人はキツネと言えばエキノコックスだ、と触ったりする人はいないですが、食べものをつい与えてしまう人はいるかもしれません。それが大きな問題であると、道内外の人たちへ伝えられればと思います。また、キツネは至っておとなしい動物。北海道の身近な動物として、みなさんに愛情を持って見守ってもらいたいですね」と呼びかけている。

 写真集はこども冨貴堂(七条買物公園)、びえい道の駅・丘のくら、びえい道の駅・白金ビルケ、美瑛町観光協会・四季の情報館などで購入できる。菊地さんのホームページ(https://www.biei.org/index.html)での通販も可能だ。