市内の小中学校ではこれまで、同構想の実現に向けたネットワーク環境や児童生徒に一人一台のタブレット端末の整備が進められており、二〇二一年度からの本格運用を予定している。

 要請の内容は、①同意書への回答を求める時は、保護者に対して十分な説明と、十分な提出期限を設けること、②校内の電磁波測定や健康調査を行い、調査結果は保護者と共有すること、③保護者・児童生徒には、端末の使用にあたり、どのようなデメリットがあるかについて十分に説明し、体調不良を訴えた児童生徒のケアに努めること、④Wi―Fiルーターはできるだけ離れた場所に設置し、使用時以外は電源をオフにすること、の四項目。

 昨年十二月、市教委や学校から十分な説明がないまま、同構想推進に伴なう学習ツール利用についての同意書が家庭に配付され、不安や不信感を抱いた保護者が少なくなかったとされる。

 先月二十二日に開かれた経済文教常任委員会(林祐作委員長)では、能登谷繁(共産党)がこの同意書について取り上げ、「この文章の内容では主旨が全く伝わらない。同意を求める前に、まずはGIGAスクール構想とはなにか、学習ツールがなぜ必要なのかなどをしっかり説明したうえで、保護者の理解を求めるべき」と指摘していた。

 また近年では、スマートフォンやタブレットの長時間使用による、近視や斜視の子どもが急増しているほか、液晶の光に含まれるブルーライトの健康への影響も危惧されている。さらに、電磁波の暴露による体調不良(電磁波過敏症)なども社会問題の一つとなっている。

 意見交換では、小中学生三人の子どもを持つ居倉香織さん(49)が「一番心配なのは健康のこと。私の子どもはアレルギー体質で、電磁波にも敏感です。家庭ではある程度管理できますが、学校ではどの程度使用するかも見えず、電磁波に長時間さらされることが、成長期の子どもの身体にどれぐらい影響を与えるかも明らかになっていません。旭川独自の取り組みなども考えてもらえたら」と求めた。

 最後に、市教委学校教育部の山川俊巳部長は「利用する子どもたちや保護者に対して、GIGAスクール構想について十分な説明がされておらず、反省している。健康不安については、保護者が心配に思う点を確認しながら個別に対応していく。また授業では、タブレットを長時間連続して使うことは想定していないが、子どもたちの心身の負担にならないように配慮するよう、各学校に話をする。対応が必要なことについては、すぐに実現できないものもあるが、財政部局にも要望していく」と述べた。(東寛樹)