第二十三回三浦綾子作文賞の表彰式が八日、三浦綾子記念文学館(田中綾館長、神楽七ノ八)で行われた。

 今回はこれまでで最多となる、自由作文部門に百五十一編、課題図書部門に五十九編、計二百十編の応募が道内外からあった。昨年十二月の最終選考委員会で、各部門の「最優秀賞」のほか、「優秀賞」、「学校特別賞」、三浦作品にゆかりのある「上富良野町賞」、「和寒町賞」の受賞作品が決定した。

 自由作文部門では、「世界の魔法」を書いた、小林嘉梨(かな)さん(東京・女子学院高一年)が最優秀賞に輝いた。「音楽に魔法をかける指導者の話が非常に印象的。指導者のアドバイスで曲ががらりと変わる経験に、とても共感できた」と評価された。

 課題図書部門では、「自らへの問いと答え」(課題図書『塩狩峠』)を書いた、佐藤せり花(せりか)さん(東京・北区立王子第二小五年)が、「小学五年生が書いたとは思えないほど成熟した文章。主人公に対する思いが変わっていく様相の描き方に、鮮やかな感情を覚えた」と評価を受け、最優秀賞を受賞した。

 田中館長は、「今回も例年に比べて、多くの作品が寄せられました。全国的に小中学生の読書の量が増えていて、それはコロナ禍でお家時間が増えたことも関係しているのでしょう。読書感想文や創作というものには、まだまだ伸びしろがあると考えています」と受賞者に語りかけた。

 選考委員の道教育大・大橋賢一教授は講評の中で、「読書や文章を書くことは、未来を切り開く武器になります。自分自身を励まし、苦境を乗り切るためにも、これからも本を読み、文章を書き続けて下さい」と述べた。

 受賞者と作品名は次のとおり。

 ▽優秀賞/永田仁子(にこ、東京・女子学院高一年)「映画が教えてくれること」、山本真優(まゆ、道教育大付属旭川中二年)「障害と未来」(『ケーキの切れない非行少年たち』感想文)、石田晴香(はるか、東光中二年)「性別の変化」▽上富良野町賞/星場風花(ふうか、夕張高三年)「トリガー」(課題図書『泥流地帯』)▽和寒町賞/藤井雪乃(ゆきの、札幌市立平岸高台小一年)「わたしのたからものはもうふ」▽学校特別賞/道教育大付属旭川中、成蹊中・高(東京)、江東区立大島中(東京)(敬称略)(東寛樹)