春光5ノ7
TEL51-4230

img彫刻美術館の近くに「手造りようかん」と書かれた看板が出ている民家があります。入ると、小さな机の上に大きさの違うようかんが一箱づつ並べてあります。ここは、ようかん専門の製造、卸をしているお店です。

城本製菓を切り盛りするのは、三代目店主の城本恭行さん(41)と奥様。一九五三年(昭和二十八年)に城本さんの祖父が創業した店は、飴工場。時代の流れでようかん製造をするようになり今に至ります。三年前からは小売りもはじめ、口コミでファンが広がっています。

「どんなようかんが出てくるか…」、ドキドキしながら包装紙を開くと、艶やかで、柔らかなようかんが登場します。厚めに切り分けて一口――、また一口。ようかんの甘さはしっかりあるけれど、いくらでも食べられる絶妙な味。なんとも美味しい。

img創業当時、仕出し屋を中心に口取り用のようかんを作っていたので、砂糖が固まって白くなるのを防ぐため、独自の砂糖の分量や練り方などを研究し、今の甘さや柔らかさ、そして味が生まれたのだそうです。

「高校生が学校帰りに買いに来てくれたのが今でも忘れられません。自分のお財布からお金を出して…」。笑顔で話すご主人。夫婦二人で営む店だからこそ、作り手に、お客さんの顔が見える、なんとも温かいお店です。ぜひ一度味わってみて下さい。

営業時間は午前十時から午後五時まで。火曜定休。

(取材・佐藤日奈子)

ケロコからひとこと

imgここはびっくりします。売っているのはようかんだけだし、玄関には、ようかんの箱が何個か置いてあるだけ。

知り合いからお土産にいただいた一本のようかん。甘すぎず、固すぎず―。甘いものはそんなに食べない私ですが、切って上品に食べるのがまどろっこしくなって、まるで恵方巻きのように両手で持って丸かじりしてしまいました。

一本食べても胸やけしないのが不思議。これは食べ過ぎに注意しなければならないようかんです。法事などに出る折り詰めに入っている口取りにも使っているとか。それで納得。だから甘過ぎず少し柔らかめのようかんなんですね。誰かにお土産に持っていきたくなりました。

2009年04月07日号掲載