春光7ノ9
TEL090-9754-1138

 部活帰りの高校生や大学生、そして仕事の合間にこっそり買い食いをする大人たち。「たこやき かよちゃん」の店の前にいると、なんだかとても懐かしい気持ちになります。

 「いらっしゃいませ~」と片岡カヨ子さん(66)と、旦那さんの繁さん(66)が元気良く迎えてくれます。オープンして十四年のこのお店。「近所にたこ焼き屋があったのよ。そこが店を閉めてしまってね。『自分でやってみようか』と思ったのがはじまり」とカヨ子さん。

 レシピはすべてオリジナル。試作に試作を重ねた結果が、今の味です。焼き台に旨味の詰まった天かすをふり掛けて、生地を流し入れます。大きなタコが入ったボウルを抱えたお父さんが、手際よくタコを入れます。そうしたら、お母さんが、ピックをもってクルクルと丸く整えていきます。

 「オレは丸くするのが苦手で、何度お客を帰したことか。『今日は焼けない』と帰したら、『すごいこだわりの店だ~』ってお客さんが勘違いしちゃってね、ハハハ」とお父さん。こんな楽しい会話が次から次へと。恋の相談から、進路相談まで――。

 人気は「揚げたこ」(十個入・三百円)。焼き上がったたこ焼きを、油で揚げます。サクッとした表面と、トロトロの中身のギャップがクセになります。普通のたこ焼き、たこマヨ、カラマヨ(辛いマヨネーズかけ)、激カラ(辛いソースかけ)は、十個入り二百五十円。この味で、この安さは感動ものです。

 人気店なので、混んでいる時は時間がかかります。気長に待ちましょう。

 営業時間は午前十一時から午後八時まで。月、火、金曜日定休。

(取材・那須日奈子)

ケロコからひとこと

 「かよちゃん」のたこ焼きは美味しい。そして安い。特に私は、カラマヨが好き。

 お店でハフハフ言いながら食べていたら、高校生がみんな、「こんにちわ」とご夫婦に挨拶をして通っていくのです。「風邪ひいてないかい」「がんばってる?」と声をかける姿はまるで家族のようです。こんな光景、昔は良くあったけど、今はあまり見られなくなりました。

 美味しさの秘訣は何かと聞くと、タコを食べさせてくれました。美味しい! 良いタコを使っているんですね。そして、ご夫婦の愛情がより美味しくさせているのでしょう。

2011年02月15日号掲載