2ノ7・TEL25―0039

 今日はサンロク街・昭和通の「四季の厨 一幸」さんにお邪魔しました。

 控えめな入口に、こじんまりと落ち着ける店内。ジャズをBGMに、上品な居酒屋さんといった雰囲気です。

 メニューは海鮮物を中心に、焼き鳥からステーキまで並び、旬の食材を使った「本日のおすすめ」も十品前後。「常連さんはほとんどメニューを見ないですけど」と店主の秋山和也さん(31)。「これもメニューにありませんが…」とやってきたのは、「アジのなめろう」(七百円・時価)。早速、いただきます――。

 筆者は大好きな「なめろう」ですが、居酒屋さんで出しているお店は多くありません。脂ののった新鮮なアジならではの舌触り、味噌と薬味のしょっぱさが絶妙、たまらない組み合わせです。思わず、お酒が欲しくなります。

 続いては、お寿司のおまかせ八貫(千円)、なんとも美しい姿に感激です。まずは旬の寒ブリ、一口で、とろ~っとした舌触りに、もう「幸せ」のひと言。プリプリのホタテ、甘~いエビ、〆サバ、タイにマグロに…まさしく板前の味です。

 目の前でバーナーで炙っていたのは、イカの炙り寿司。「炙りは魚ですと身が硬くなりますが、イカに限ってはやわらかくなるんです」と秋山さん。細かな切れ目の炙った部分は香ばしく柔らか、生の部分は滑らかな舌触りと甘みが広がります。生と炙りの絶妙な加減が美味しい変化をもたらす逸品です。

 感激する筆者に「やっぱり、寿司は握るのも好きですし、美味しいと言われるのも一番嬉しいんです」と秋山さん。札幌のホテル内の料亭や市内の寿司屋で修行を積み、約二年前、縁あってこのお店を継いだそうです。

 「お客さんが食べたいものを作るのが一番ですね。常連さんはメニューも見ないで、全ておまかせで頼んでいただけています。『今日はあの人が来そうだな』なんて料理を考えるのが楽しみですね」。なんて話していたら、「今日は何だい?」と常連さんがやって来ました。いつでも来たい暖かさと、おいしさのあるお店なのでした――。

 日曜定休。午後五時半から、同十一時ラストオーダー。(取材・太野垣陽介記者)

ケロコのひとことメモ

 入口はちょっと地味ですが、知ってからはもう5、6回は行きましたし、来週も予約しました。

 最初は生寿司がおいしいと聞いたのですが、訪れてみると居酒屋さん。メニューを見たらあったあった、8貫1,000円とは安い。一口食べてみると…これはすごい。おいしい。そして一貫一貫が凜として美しい。

 ダイエット中だと言ったら…お寿司は食べてるんだけど…、おいしい酢の物を作ってくれた。メニューにないものでも言って下さいって。団体のお客さんの鍋もおいしそうだったから、次は鍋にするか。何を食べるか、楽しみなお店ですよ。

2017年02月14日号掲載