5ノ8・TEL23―8686

 路地の奥にある小さな洋食店。ところが、トンカツを中心としたここの料理はとにかく絶品としか言いようがない。

創業は一九四九年(昭和二十四年)と、もう七十年近く前。当時、一帯にあった自由商場や自由劇場にならって名前がつけられた。店舗は戦前からのままで、昭和の情緒たっぷり。

 気さくな店主の田中輝彦さん(72)は二代目。肉ライス(千四百円)、塩やき(千二百三十円)、ロースかつ(千四百円)、カニコロッケ(千八十円)など、どれを食べても美味しい。しかし、今回紹介するのは、あまり知られていない宴会料理だ。

ある日のコース(飲み放題五千円)はこう。前菜が、野菜のマリネの上に山盛りにしたワカサギのから揚げ、ホウレンソウ入りのカキグラタン、ローストビーフ。これだけでも酒がどんどん進むが、続いてサケとキノコ、カキのキッシュ、具沢山のフラン(洋風茶碗蒸し)、ソイとアサリのアクアパッツァ、チキンと牛、豚肉のカツ…。豚カツを除いて、店では提供しないものばかり。

 宴会料理を担当するのは、長男の範東さん(44)。実は範東さん、東京銀座のフランス料理店に勤めたあと、フランスで二年、スペインで一年半修業した調理人。コースはその日の仕入れによって中身が変わる。美味しさに魅かれて毎月一回、ここで宴会を開くというグループがいるというのも納得だ。

宴会は一日一組限定。送別、歓迎会シーズンのいまは、一カ月以上も先まで予約が埋まっている。そう、店の唯一の欠点は混みすぎるということ。最近は連日、ネットなどで評判を聞きつけて訪れる中国や韓国、米国など世界各国の観光客であふれかえっている。本当に美味しいものは、どんな国の人にとっても美味しいのだ。

定休日は日曜日。営業時間は午前十一時半~午後二時、午後五時~同九時。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 大好きなお店。最近は、特にランチが混んでいる。夜の閉店ちょっと前なら入れることがあるから、ダイエットするのは、ここではちょっとお休み。
この前も、カレーにトンカツ、餃子と、ゴールデンラインアップ。本当においしいよね。塩やきもいいし、「わらじ」もいつか挑戦したいと思ってる。
そして、あまり知られていないけど、ここの宴会のコースがすごいのだ。なかなか予約は取れないけれど、クオリティーの高さにびっくりすること間違いなし! 何がすごいって、まずは行ってみてください。

2018年03月20日号掲載