春光1ノ9・TEL55―3636

 初めて酒を飲んだのは、大学に入った十九歳のとき。それから酒を飲み続けて五十年近く。いったい、どれだけの焼鳥屋に世話になっただろう。

メニューにあると必ず頼むのが、鳥と鳥レバーの刺身。しかし、食中毒への心配から最近はほとんどお目にかかれない。もう二度と食べられないのかと思っていたら、なんとこの店、売りが鹿児島産親どり刺身(九百八十円)と親鳥とりわさ(三百八十円)だった。

  刺身は親鳥とあってコリコリと歯ごたえがあり、噛めば噛むほど肉のうま味がじわっと広がる。つける醤油は、甘くて濃厚な薩摩醤油。これがまた、合う。

鳥わさも肉は完全に生で、こちらは柔らかそのもの。わさびドレッシングがかかって、これまた美味しい。「鶏肉の刺身を出しているのは、いまや旭川でも三軒ぐらいしかないと思います」と店主の三好章さん(41)。もちろん、衛生管理には万全を期しているそうだ。

 三好さんは、長くスーパーや問屋で食肉担当の仕事を続け、居酒屋の店長も務めた。そんな経験を生かして七年前、この店を開店した。肉類は、兄の肉問屋から仕入れている。「生肉にこだわって冷凍は一切なし。安くて、焼鳥一本でもお腹がいっぱいになれるような大きなものを心がけています」

  とり串(二本二百八十円)、ぶたばら串(同三百円)、ミックスホルモン(三百八十円)、ポテサラめんたい(三百八十円)など、どれも安くてボリュームたっぷり。薩摩醤油に漬け込んだこれも名物の「ばんざいのザンギ」(五百八十円)など、げんこつ大のザンギが四つも盛られて出てくる。お腹いっぱいになること間違いなし。

 店内の壁には、昔懐かしいイカリソース、明治マーブルチョコレートなどの看板、ポスターがびっしりと飾られ、庶民的な雰囲気を盛り立てている。

 定休日は月曜日。営業時間は午後六時~午前零時。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 夕方、電話があった。「おいしいお店にいるから来ない?」。聞いたら、春光だという。遠い…。でも、行って良かった。

 接客って大事だ、と思ったマスターの明るさ。壁に張ってあるメニューが楽しい。そして、なんと「親どりの刺身」や「鶏わさ」がある。久しぶりに食べた。おいしかったぁ。焼鳥もホルモンもおいしい。

 驚いたのは、刺身の新鮮さ。自分でさばいてるんだ。ダイエット中なんだけど、「塩ラーメン」があった。絶対においしいと確信が持てたので、頼んだらやっぱり、大正解!

2018年09月25日号掲載