豚の角煮が好きな人はけっこう多い。でも、自分の家で作ろうとすると難しい。僕も、圧力鍋や保温調理器などを使ってときどき挑戦しているけど、満足できたためしがない。

 昨年十一月、三十周年を機に東旭川から新築移転した人気店の看板料理は、まさにこの豚の角煮。「コツは、えぐみがある豚の脂を丁寧に取ること」と、胸を張るのは店主の菅野雅文さん(58)だ。

 「名物豚角煮御膳」(九百八十円、十食限定)、豚角煮やてんぷらなどおいしさが詰まった「酵素玄米御膳」(千六百二十円)もあるけど、いただいたのは新メニューの「焼角煮カレー」(千二百円)。角煮のたれをベースに、焼くことで香ばしさを出した角煮と、とろとろのチーズが満載の一品。「うちでしか出せない味になったと思います」と菅野さん。角煮は旨みが凝縮して、脂身が甘くてとろけ、濃厚なルーとの相性は抜群。ルーが染みこんだコーン入りのご飯もたまらない。

 食後のデザート「和ぱふぇ」(ミニ五百四十円)も、オリジナルメニュー。十勝産ぜんざいの上に三種の生麩、白玉団子、アイスクリーム、生クリームを見事に組み合わせている。

 菅野さんは、もともと京呉服を取り扱う仕事をしていたが、その後、飲食店も始めた。現在の店に移転したのは、三・一一があった後、大好きな音楽活動を再開し、自分のユニットを率いて自分の店でライブをしたいと思ったことがきっかけという。

 新築した店は、昭和初期のモダンなイメージで、正面に雄大な大雪連峰が望める、絶景の地にある。音楽ライブのほか、陶芸教室も開いており、「好きなことをやりながら、商売させてもらっている。この店は私の集大成」と菅野さん。

 定休日は月曜日。営業時間は、ランチタイムが午前十一時~午後三時、カフェタイムが同三時~同五時三十分。夜は完全予約制。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 東旭川にあったときからのファン。当麻に移転して、さらにバージョンアップ。とても落ち着く空間になりました。

 地元で出会ったおいしいポークを提供したい、と出来た「旭山ポークステーキ御膳」。これ、本当においしかった。たくさん食べているのに、ヘルシーを求めている私にぴったりなのが「酵素玄米御膳」。もうひとつ「にしんの切り込みおじや」。私、これが前から好きです。

 たまにライブもやってるし、メニューも進化してる。ちょっと遠いけど、わざわざ行く価値ありです。

2018年12月18日号掲載