緑ヶ丘4ノ2 サニーショッピングプラザ・TEL56―4992

 ここのパンは、とにかく素材にこだわっており、何を食べても本当においしい。小麦粉は美瑛町などの道産、天然酵母は自家製三種と市販四種のブレンド、バターは美瑛町のジャージーバター、チーズは道産のゴーダーチーズ…といった具合。食べる前からおいしさは想像がつく。

食パン(一斤三百四十円)は、上富良野町産のハルユタカの全粒粉を配合して弾けるような食感。フォカッチャ(百二十円)はサンドイッチにぴったり。ごまパン(二百円)は、びっしりと炒りごまをまぶして焼き上げた。ソレイユ(三百八十円)は、フランスパンの生地にクルミやレーズンなどを贅沢に混ぜ込んだ。どれもこれも、噛めば噛むほど小麦の香りと豊かな滋味があふれだす。店主の坂井賢太さん(38)に、お薦めを聞いたところ「全部わが子みたいに思い入れのあるもの」との答えだ。

坂井さんは、新潟県出身で、もともと漢方を中心とした薬剤師として新潟大学病院に勤務していたという異色の経歴。「薬で体を治すより、もっとやることがあるのではないか」と、食の大切さを考えるようになったのが転身のきっかけだった。そのころ、毎年のように旅行していたヨーロッパで本物のパンに出合い「これなら自分でも出来るのではないか」とパン職人を目指すことになったという。

そして「大好き」という北海道に移住。美瑛町の石釜パン屋「2ひきの猫」、道の駅あさひかわの「ダパス」の経営を経て、二月に現在の店をオープンした。

 さらに、四月中には店の隣にも食堂を開店させる予定だ。メニューは用意せず、豚汁定食など選び抜いた地元の旬の食材を使って、体に良い料理を日替わりで出したいという。こちらも、ぜひ行ってみなくては。パンを買うだけでなく、もう一つ楽しみが増えた。

 定休日は月、火曜日(祝日は営業)。営業時間は午前十時~午後五時。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 道の駅にあった「ダパス」のパン。好きで、近くに行ったときよく買っていました。ところが閉店。思い出しては食べたくなっていたけれど、やっと再開しました。道の駅ではなく緑が丘。
 久しぶりなので、あれもこれもと、たくさん買ってしまった。

 フォカッチャに色々な具をはさんで食べるのが好きなのだけれど、これはパンがおいしくなくてはだめ。シナモンロールもいい。クロワッサン生地で、他の店のものとはちょっと違う。イートインもできるので、楽しみが増えた。

2019年03月26日号掲載