豊岡15ノ7・TEL34-6633

 メチャクチャ暑い日が続いた今夏。しっかり冷房が効いた店で、熱いラーメンをすするのも意外といいかもしれない。聞くと、この店も八月は一番売り上げが多いのだとか。

 創業は一九八五年という老舗らしく、メニューはラーメンだけ。正油、塩(各七百円)、同野菜(各八百円)、同チャーシュー(各九百五十円)、みそ野菜入り(八百円)、同チャーシュー(千五十円)。

 千葉ナンバーで来た先客の若いカップルが、しきりに感激している。「あいさつ程度ではなく、本当においしかった」。店を出るときも「いやあ、旨かった」。

 僕も、九割の人が注文するという一番人気の正油を食べてみた。載っているのはチャーシューとたっぷりのメンマ、ネギだけというシンプルさ。でも、一口スープを飲んで驚いた。旨みとコクがあるのに、しつこさが全くない。だしの臭さも感じられないやさしい味。これはおいしい。

 「ごく普通のラーメンだけど、素材は厳選していますから」と、店主の三浦静朝(よしのり)さん(71)。だしは魚系が煮干し、サバなど四種、動物系が豚骨と鶏ガラの二種。鶏ガラは青森産。一〇〇%匂いがないのだとか。これらでスープを炊き上げ、冷やしてストックにしたあと、出す。「これが本来の旭川ラーメンのスープ。豚骨と鶏ガラを合わせると、一プラス一が三にも四にもなる」と三浦さん。

 チャーシューは斜里産の知床ポーク、麺は縮れをちょっと少なめにした白太麺を使っている。どれもこれも、仕入れ先を変えながら工夫を重ねてきた三浦さんの究極の味だ。
 午後二時まではライスがサービス。これだって「単なるサービスだと思われるのが嫌だから」と、奥さんの直子さん(71)がこだわり、東川産減農薬の屯田米ななつぼしを、ラーメンに合わせてちょっと硬めに炊いている。このご飯、本当においしかった。

 定休日は月曜日。営業時間は午前十一時~午後九時三十分(日曜日は午後八時)。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 ラーメンが好き。好きなお店が何軒かあるが、ここもその一軒。優しい味がするラーメン。昔からのラーメン屋さんらしい雰囲気もいい。

 お昼に行くと、ライスサービス。やっぱりラーメンにはライスだよね。スープは全部飲まない方が体にいいと言われている。でも、気が付くとスープが少ししか残っていない。そのスープの中に、ライスを入れて完食。おいしいものは体にいい、と勝手に決めているのだ。

 店の隅で、奥様が丁寧にもやしのひげ根を取っている。次は野菜ラーメンを食べよう。

2019年08月12日号掲載