3ノ7、トーエー第2ビル1F・TEL74-797

 きちんとした地鶏を使った鶏料理・焼鳥店は、旭川ではほとんどない。かねて残念に思っていたのだけれど、昨秋、地鶏料理をメインにしたこの店がオープンした。

 使っているのは、秋田産の比内地鶏と徳島産の阿波尾鶏の二種。いずれも旭川では流通しておらず、苦労の末、市内の食肉卸店を通じて産地から直接仕入れている。その地鶏に加えて、僕をもう一つ感激させているのが鶏刺しを味わえることだ。

 鶏刺しは、保健所の指導などもあって市内ではほとんど姿を消した。でも、ここでは鮮度抜群で安全に下処理した鶏刺しが、メニューの巻頭にでんと並んでいる。とりわさ(六百五十円)、ささみ(同)、ささみと胸、モモの三点盛り(二千円)から、なんとほぼ幻になったレバー(九百円)まである。

 また、地鶏焼きは一般の串焼きではなく、比内地鶏(一枚千五百円)と阿波尾鶏(同千円)とも炭火の上の網で転がしながら、表面が少し黒くなるまで丁寧に焼いたものだ。

 地鶏刺しの三点盛りをいただいてみた。これが、圧倒的なおいしさ。柔らかなささみ、肉の旨みが凝縮した胸、歯ごたえが素晴らしいモモ。こんな鶏肉を食べたら、ブロイラーなんか二度と食べる気がしなくなるかもしれない。

 店主は原渕輝さん(29)。調理専門学校を卒業したあと、市内の和食店などで板長として働いたあと独立した。鶏料理店にしたのは「市内には和食店が多い。同じジャンルでやっても面白くないし、旭川にはきちんとした鶏料理店がなかったから」と、原渕さん。メニューには和食の板前だったらしく、鶏料理のほかにもホタテバター(五百円)、出汁巻あんかけ(六百円)、天麩羅盛り合わせ(千円)など、酒がすすみそうな料理が並ぶ。店内の雰囲気も旧雪屋そのままに落ち着き、わくわくするような店だ。

 不定休。営業時間は午後六時~午前一時(金、土は午前二時)。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 鶏肉が好き。特に、「鶏わさ」。でも、よっぽど新鮮でないとだめ。最近は、食べられるお店が少なくなった。オープン間もないこの店に行ったら、あった!

 比内地鶏と阿波尾鶏。どっちがいいかと聞かれても分からない。盛り合わせにしてみた。それがまあ、おいしくておいしくて、感激。おしゃべりな私が無口になった。

 次は塩焼きを注文。これまたびっくり。食感といい、香りといい、鶏によってこんなにも違うのか。まだ食べていないメニューもたくさんある。また行きます。

2020年01月28日号掲載