豊岡8ノ1ノ1・TEL73-6655

 正統な居酒屋なのだけれど、どこか違う。枠に収まりきれないワンランク上の居酒屋とでも言えばいいのだろうか。とにかく、メニューが幅広い。

 ある日の「おすすめ」を見てみよう。お刺身盛合わせ二名盛(千五百八十円)、バチマグロカマの塩焼き(七百八十円)、留萌産活タコポン酢(六百八十円)など、一般的なものはちゃんとそろっている。でも、それに加えてピザもパスタもそれぞれ四種ある。なんでも、常連さんがメニューにないものまで次々に注文。食材さえあれば作ってもらえるのだそうだ。

 いただいたのは、まず真たちの天ぷら(九百八十円)。上質な真たちが、ふわふわ、とろとろ。何もつけなくても、これは美味い。もちろん、好みで岩塩やスダチもちゃんと用意されている。居酒屋のレベルを超えている。

 続いて、アボカドと生ハムのピザ(八百八十円)。これも、専門店に負けない本格派。しかも、二人前以上あるのに安いこと。最後は、トマホークステーキ。ネイティブアメリカンが使った斧の形に似ているので名付けられたという骨付きの巨大ステーキだ。こんなの食べたことがない。ただただ圧倒されながら、かぶりついた。

 「家庭ではなかなか食べられない味と食材の料理を出すように努めています。例えば、フォアグラなんかも出すことがあるんですよ」と、店主の井上朋博さん(40)。手伝っていたこの店を先代から引き継ぎ、昨年八月に独立した。ホテルでイタリアンやフレンチのシェフとして活躍していたというから、店のメニューにも納得。

 料理が安くておいしいからか、食事だけの客や遠方からタクシーや運転代行で訪れる客も多いのが店の特色。これなら、酒を飲めないうちのカミさんを連れてきても喜ばれそうだ。今度は、カミさんを運転手にしてゆっくり飲もう。

 定休日は月曜日。営業時間は午後五時~午前零時。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 気になる、気になる。友達がおいしいと言っていた。違う友達も、結構混んでいるから行ってみてと言う。そこで行ってみたら、大正解。

 「本日のおすすめ」を見て、次に見たのは「締めの一品」。これ重要。締めを大事にするお店は、ほとんど間違いない。ここは、おにぎりのほか俺の〆メシ、塩ラーメン、とり麺、出汁茶漬け。

 ラーメンは締めにぴったりのあっさり味。〆メシは、ごはんの上にバターと目玉焼き。今では、わが家の朝ごはんでも真似している。煮込みがおいしかった。リピート決定。

2020年02月18日号掲載