緑が丘南3ノ2・TEL66―6336

 「家族や大切な人と一緒に、楽しくおいしく安心して食卓を囲んでほしい。そんな思いを込めてパンを焼いています」と、店主の伊藤千尋さん(52)。

 子どものころからパンや菓子を作るのが大好き。子育ても一段落し、本格的に再開したいと、二〇〇五年に住宅街の一角に開店した。こだわるのは、レーズンを種にした自家製天然酵母パン。そして、道産小麦を使うこと。パンの中に入れるホワイトソース、あんなどはみな手作りだ。だから、基本はその日のうちに食べてもらうこと。

 小さな店内には、常時三十種ほどのパンと焼き菓子を並べている。ケロコさんお勧めの全粒粉入り食パン(一斤三百六十円)は、全粒粉を五〇%配合。全粒粉パンとは思えないほどサクッと香ばしい。もっちりとして皮もやわらか。かめばかむほど麦のおいしさが口の中に広がる。これからの季節、野菜をたっぷりはさんだサンドイッチにもぴったりだ。水、土曜日限定の人気商品のため、予約が賢明。

 このほか、ゆっくり発酵させたバゲット(二百六十円)、全粒粉とライ麦生地にイチジクの甘みが良く合ういちじくのカンパーニュ(百八十円)、一昼夜じっくり発酵させたサックリ、ふんわりのクロワッサン(百五十円)など、どれもこれもおいしい。

 僕が前に旭川に住んでいた約二十年前、天然酵母のパン屋は数えるほどだった。それがいま、この店を含めて十倍以上にも増えている。本当にうれしいことだ。

 旭川もまだ、新型コロナウイルス問題でどこもかしこも大変。ここも、常連客は減ったそうだが、反面、外出自粛の影響で新たに来てくれる客が増えたそうだ。ところで、店名はアイヌ語で「今日」という意味。今日一日を大事に生きていきたい、たーんと食べてもらいたいの願いを込めているそうだ。
 定休日は日曜日~火曜日・祝日。営業時間は午前十一時~午後六時三十分(なくなり次第)。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 最近、お昼は家で麺類ばかり食べているので、おいしいパンが食べたくなった。でも、パン屋さんって休みが多いので、なかなかタイミングが合わない。やっと行けた。

 ここの限定の全粒粉食パンはおいしい。たっぷりバターをつけると、香ばしくて、いくらでも食べてしまう。いちじくのカンパーニュも全粒粉とライ麦生地に、私の大好きなイチジクがよく合って本当においしい。

 素材にこだわり、一つ一つ丁寧に焼いていて、焼いている人の思いが伝わってくる。

2020年05月26日号掲載