神居2ノ11ノ1
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 スーパーでしか肉を買わなくなって、どれぐらいになるだろう。やはり、専門店で店の人にアドバイスをもらいながら、上質な肉を選ぶのは楽しい――。そんなことを、この店は久々に思い出させてくれた。

 創業は一九八九年。銀座商店街の第一市場の精肉店で働いていた磯野春夫さん(67)が、現在地の近くで独立した。以来三十年余り。今では、多くの焼肉ファンに愛される老舗だ。

 何といっても、ここの良さは鮮度と品質。「値段はちょっと高いけど、品物はいいよ」と磯野さん。そして、ケロコさんも言うように、豊富な種類、特にホルモンの充実ぶりだ。牛肉は、米国産が大部分を占めるようになったスーパーに対し、国産がきちんとそろっている。カルビ(百㌘八百八十円)、バラ山(同四百九十円)、レバー(同百九十円)などで、壁には牛の個体識別番号も張られている。米国産は、飼育にホルモン剤、抗生物質などが使われていることも多く、食べるのは不安。それだけに、これはうれしい。

 また、豚ホルモンはトントロ(同二百六十円)、ひぞう(同百円)、直腸(同百八十円)、コブクロ(同二百円)、ガツ(同百八十円)などが並ぶ。自家製の焼肉用たれ(一本四百五十円)を買い求める人も多い。

 ところで、コロナ禍が続く昨今、精肉店の売り上げがどこも好調らしい。外食を自粛しているけれど、どうしても焼肉を食べたい――。そんな人たちが、自宅の庭や河川敷などで焼肉を楽しんでいるそうだ。取材に訪れた日も、平日の昼間だというのに、買い求める人や予約客などが次々に訪れ、「四人で焼肉するのだけれど、これで足りますかねえ」など店員さんとの会話も弾んでいた。

 ソーシャルディスタンスが求められるいま、買い物はどうしても待ち時間が増える。電話かファクスで予約するのがお勧めだ。定休日は月曜日。営業時間は午前九時三十分~午後六時。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 週末に近所を散歩していると、あちこちから焼肉のいい匂いがしてくる。私は、おいしい肉を買って、フライパンで焼いて食べている。

 サガリやカルビも好きだけれど、特に、ホルモンにはこだわりがある。最初ここに来たとき、いろいろな内臓がズラリと並んでうれしくなった。とにかく美しい。美しい内臓は、きちんと処理している証拠で、おいしいのだ。

 焼肉屋に行くと、ひぞうなどは3切れぐらいしか入っていないけど、ここではひぞうだけ売っている。最高です。

2020年06月23日号掲載