春光3ノ9ノ3・TEL73-9011

 餃子酒場なんていう店だから、台湾の屋台に毛が生えたような大衆酒場かと想像していた。ところが、小料理屋のようなこの格式ある店のたたずまいは何なのだ。立派な門構え、枝垂れ桜などが青々と生い茂る日本庭園、天井が高くて黒光りした梁が立派な純和風建築…。聞いて納得。築百年以上経った建物で、戦前は旧日本軍第七師団の将校官舎だったそう。

 驚かされたのはもう一つ。確かに餃子はメイン。焼き(四百八十円)、揚げ(同)、ぶっかけネギ(六百円)、とろーりチーズかけ(同)など十六種類もそろっている。でも、餃子だけでなく串揚げ盛り合わせ(千八十円)、マイタケの天ぷら(五百八十円)、道産牛たたき(千八十円)など、魅力的なメニューがそろっているのだ。

 試しに、焼き餃子と夏限定というダチョウ肉刺し(千二百八十円)をいただいた。この店の餃子の特徴は、ニンニクを一切使わず、ふんだんなニラで旨味とパンチの効いた味を出していること。外はカリッとして、中身は熱々でジューシー。さすが、看板メニューだけにおいしい。ダチョウは初体験。まったく癖がなく、馬刺しと鳥刺しの中間といったところ。鹿児島県から毎夏取り寄せており、常連客の人気メニューの一つで「癖がないのに癖になる」と言った人がいるとか。

 閉店した旧春光倶楽部をリニューアルして開店したのは四年前。店主の大野辰之伸さん(26)によると、大野家は親もおばあちゃんもみな餃子が大好き。でも、作る餃子はみな味が違い、店の餃子は自分の味。「大切な誰かを連れて行きたくなるような、すてきな時間を演出します」と大野さん。七月中には、三条買物公園に昼から飲める二号店「ちょい飲み餃子酒場やをら」も開店させる予定だそうで、こちらも楽しみだ。

 不定休。営業時間は午後五時三十分~午前零時。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 もう5年以上前になるだろうか。ここは「春光倶楽部」というお店で、何度か行ったことがある。やめたと聞いていたが、こんな素敵なお店になっていた。

 餃子酒場というのがいい。イケメンオーナーの大野さんが、またいい。若いけれど、自分のお店のことだけでなく、旭川にどうすれば若者が根付くだろうかと、真剣に考えている。

 肝心の餃子だが、ニンニクを使わず、ニラをふんだんに使っていてジューシー。焼きたてはとくにおいしい。庭を見ながら餃子を食べるというのもいい。

2020年06月30日号掲載