新富2ノ1・TEL26-2651

 餅菓子は持病の関係で、カミさんのご相伴以外は食べないことにしている。でも、昔から続く小さな餅菓子店の前を通ると、なにやら懐かしくなる。この店も、そんな一店。

 創業したのは約六十年前。二代目の佛田信雄さん(70)は若いころ、人と接するのが苦手だった。しかし、親の具合が悪くなって、高校卒業とともに店を手伝うようになった。以来、餅一筋。

 佛田さんの餅は、伝統を曲げず、保存料などの添加物は使わない。だから、日持ちはしない。餡(あん)は、自身があっさりとしているのが好きなので、一般的な水あめは使わず、砂糖だけ。自分で練って、味加減を整えるのも信条。「うちの餡と同じ餡は、他店にはない」と佛田さん。

 陳列しているのは、一番人気の串だんごが、ごま、しょうゆ、餡の三種(各八十円)。そのほか、大福、豆大福(各百十円)、すあま(七十円)、大福まんじゅう、田舎まんじゅう(各九十円)など。いただいてみると、どれも素朴な味で、心まで温かくなってくる。

 ところで、新型コロナウイルスは旭川でも飲食店や食料品店など、あらゆるところに打撃を与えている。でもこの店、今は落ち着いたというものの、一時期は商品がどんどん売り切れた。中には、留萌や美瑛から来て何十個も買っていく客までいた。午後三時には品切れで閉店した日もあり、お客さんからは「店はとうとうやめたのか」と心配する声もあったそう。「夏はあまり売れないのですが、コロナによる巣ごもり需要なのでしょうね」と佛田さん。ちなみに、冷凍すれば何日もおいしく食べられるそうだ。

 佛田さんがちょっと寂しいのは、経営者の高齢化で市内の餅・和菓子店が次々に姿を消していくこと。「うちですか? 原料の分量を間違えるようになったら、店を畳むことにしています」

 定休日は日曜日。営業時間は午前十時~午後六時。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 ここのお餅が大好きで、もうずいぶん昔から通っている。みんな知っていると思っていたけれど、ひっそり、こじんまりしているので、知らない人も多い。それは、とてももったいない。

 絶対に買うのは串だんご。特に、しょうゆが好き。豆大福も、豆がとてもたくさん入っている。あまり見かけなくなった、すあまはピンク色がいい。最近はお赤飯にも凝っていて必ず食べるし、せっかく来たからと、のしもちも…。

 手土産にも喜ばれ、作り手の気持ちが伝わってくる、“超”お勧めのお店です。

2020年09月08日号掲載