宮下通25丁目・TEL31-0453

 こんなにおいしくて安いランチがあるなら、ちょっと遠出してもいいなあ。そんな思いに駆られる店がある。ここも、そのひとつ。僕のお勧めだ。

 ランチは、日替わり(七百円)とハンバーグ(八百五十円)、とんかつ(同)の三種。一押しの日替わりをいただいた。運ばれてきたのを見て、まずはビックリ。おかずの種類と量が半端でない。メインの皿には、生姜焼き、目玉焼き、ポテトサラダ、そしてキャベツとミニトマトのサラダ。黄、白、緑、赤と色とりどり。もう一つのメインがカスベの煮物。このほか、ホッキとカブの酢の物、長いものソテー、ロールキャベツ、ザーサイの和え物と、四種類の小皿(小皿は他のランチにもつくそう)が並ぶ。どれもこれも、ひと手間かかっていて、とにかくおいしい。ほうれん草とつみれの味噌汁は、お代わりしたくなるほど。

 店主の廣瀬恵美子さん(69)は「野菜をどうやってたくさんたべてもらうか、いつも考えています。おいしく食べてもらうため、うちは食材よりも調味料にお金をかけています。もちろん化学調味料なし」。だから、このおいしさなのだ。

 廣瀬さんは、四十七年間も喫茶店一筋。三カ所目となるこの自宅兼店舗も、もう十七年目になる。食事もすばらしいけど、店のレトロな雰囲気もたまらない。石畳を踏んで山小屋風の入り口をくぐると、店内はステンドグラスや千点以上のフクロウの置物、古い掛け時計などであふれている。そして、店の奥の棚にはたぶん数千枚以上はある古いジャズのレコード…。なんとも、僕好み。

 ランチ以外にも、食事は五種のカレー、四種のピラフ、六種のパスタなど充実。珈琲はストレートのみで、日替わり(四百四十円)など珈琲好きにはうれしい品揃えだ。また、行かなくちゃ。不定休。営業時間は午前九~午後四時。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 たまにはごちそうではなく、手作りの普通のごはんが食べたくなる。そんな時、思い出したのがこの店。10年近く行ってなかったかもしれない。でも、変わっていなくてうれしい。

 ここのランチ、本当にすごい。驚いたのは、値段も変わっていなかったこと。焼き魚は焼きたて。肉も野菜も、エビまであった。酢の物がとてもおいしかったので、作り方を聞いてしまった。

 普通のおかずが一番と再確認。締めは、香り高いコーヒー。ここは、コーヒーもお勧め。

2020年11月10日号掲載