3ノ7・TEL22-1100

 旭川を代表する老舗料亭が、この一月に復活した。さすが、伝統の日本料理の味は豪華な店内の雰囲気とも相まって別格だ。

 花月会館の創業は、百年以上も前の一八九八年。時代の波に乗り切れず、四年前に廃業した。しかし、これを惜しんで市内の荒井建設の子会社アライホテルズ花月会館が、館内をモダンに大改装し、新生花月をオープンさせた。

 核となる会館内の料亭かぶとの料理長には、京都で修業し、シンガポールやジャカルタの高級ホテル・マリオットで寿司割烹の料理長として腕を奮った植栗一男さん(58)を招聘(しょうへい)。目指すのは、北海道を中心とした全国えりすぐりの食材と京風料理との融合という。

 ランチ時間にお邪魔し、一番人気のかぶと弁当(千七百六十円)と寿司御膳(二千二百円)をいただいた。弁当は、マグロとカンパチの刺身、エビやカボチャなどの煮物、出汁巻き玉子、赤魚の焼き物、京生麩の田楽、滝川産合鴨の焼き物などが色鮮やかに重箱に盛り合わされている。吟味された材料、出汁が利いた薄味の調理が見事。寿司は、関サバ、ホタテ、ボタンエビなど極上の味。キュウリの筒の中に酢飯を詰め、上にウニを載せた変わり軍艦には舌も驚かされた。

 昼、夜とも提供する天ぷら御膳(千九百八十円)、刺身御膳(二千四百二十円)、にぎり寿司十巻(二千六百四十円)などの一品料理のほか、会席料理もお勧め。夜なら、七千七百円から一万三千二百円まで。とても美味しかったので、後日、僕の誕生祝におまかせ会席(九千九百円)を予約。料理長と料理談義しながらいただいたのだけれど、期待を裏切らないおいしさだった。「カウンター越しにお客さんの希望を聞きながら、料理を提供するような方向にお店を持っていきたい」と料理長。

 店内は、ゆったりしたコの字型のカウンター席が十八席、テーブル席が五室。旧花月から受け継いだという豪華な食器類も見逃せない。

 定休日は月曜日。営業時間は午前十一時三十分~午後二時三十分、午後五時三十分~八時三十分。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 花月がなくなって、寂しい思いをしていた。そんなにしょっちゅう行っていたわけじゃないけれど、懇親会や会議、ランチにも行っていた。

 その花月が、新しくオープンするという。行ってみたら、想像以上にステキで、うれしくなった。広々としたカウンターで、板前さんと話をするのもいい。素晴らしい器も並んでいる。肝心の料理も、品があり、見た目も美しい。

 ランチだったけれど、次はぜひ夜に行ってみたい。コロナが落ち着いたらあるだろう会合が楽しみだ。

2021年03月09日号掲載