東神楽町南1西2ノ6ノ9・TEL080-1131-8109

 手打ちの十割そばで、こんなにも喉越しがいいそばができるなんて…。口に入れたとたん、驚いた。そばつゆも出色。そばの香りと味が引き立つ。そば好きで、いろいろ食べ歩くけれど、たちまちここのファンになってしまった。

 開店したのは八年前。地元出身の店主・豊島光宏さん(50)は、神奈川県で進学、就職。でも、故郷で子育てしたいという思いに神奈川出身の奥さんも賛成してくれ、脱サラしてUターンした。そばは全くの独学。二十年ほど前から趣味として自宅でそばを打っており、食べ歩いて覚えた腕を生かすことにした。

 メニューは、冷が、もりそば二・八(七百三十円)、同十割(七百九十円)、鴨せいろ(千三百九十円)、温が、かけ(七百七十円)、かしわ(八百九十円)、とろろ(九百五十円)など。そば粉は、二・八が上川町産、十割が音威子府産。「そばの味は、産地以上に製粉所のふるいの細かさによって違います」と、製粉所にまでこだわっている。そして、そば粉の味を引き立てたいと出汁は鰹節のみ。まさに、シンプル・イズ・ベスト。

 注目は、神社の茅の輪くぐりを楽しむような小ねぎの冷がけ蕎麦(九百円)、スープカレーのようなスパイシーにしんそば(千百円)、すだちがびっしりそばを埋め尽くすすだち蕎麦(九百九十円)、とまとそば(同)などの変わりそば。「守るべきは守り、破るべきは破り、みんなが楽しんでくれれば僕たちも楽しくなる」と豊島さん。

 最後に忘れてはならないのは、店内で販売しているスコーン(百三十円)、うめケーキ(百六十円)などのスイーツ。奥さんが日替わりで焼いており、無農薬の梅、道産てんさい糖、バターなど材料を吟味。素朴な美味しさは、そばにも負けない人気ぶりだ。席数が限られるので、予約か来店時に問い合わせた方が無難。定休日は日、月曜日。営業時間は午前十一時三十分~午後三時。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 噂に聞いていた手打ちそば店に、やっと行けた。予約しないで行ったのに、入れた。ラッキー。

 初めての店は「もりそば」と決めているけれど、友達に頼んでもらって、私は初めて聞いた「とまとそば」。私の第六感が、それにしなさいと言ったのだ。これが大正解。あざやかな赤色で、さっぱりしているというだけでなく、深い味わい。よく考えたなと思う。

 そばの美味しさはもちろん、驚いたのはそば湯。とろりと濃くて、グイグイ飲めちゃう。ここは、何やらすごいおそば屋さんだわ。

2021年07月20日号掲載