南6ノ24・TEL34-8800

 北海道の和菓子って、歴史はせいぜい百年がいいところ。だけど、この店の由来を聞いて驚いた。なんでも、店の記録が残っているのは二百年近く前の天保七年から。だが実際は約三百年前、有名な伊達政宗公に京都から呼び寄せられ、福島県梁川町で開業したのが始まりなのだとか。

 社長の加藤徳弥さん(74)は、梁川町で代々続く実家で育った。サラリーマンとなったが、いろいろあって旭川で不動産業を始めた。ところが、実家を継いだ兄が福島の店の屋号を変えて宮城県に移転。そこで「由緒ある屋号の『かとうや』が消えるのは寂しい」と、不動産業の傍ら旭川で屋号を引き継ぐ店を開くことにしたという。

 看板商品のあげまんは、江戸時代からの伝統の味。昔は、今のように保存料など化学添加物がなかったため、まんじゅうは日持ちがせず硬くなった。このため、秘伝の衣をつけて揚げ、売り出したのがはじまりだそうだ。あげまん六個セット(七百円)は、黒糖、みそ、よもぎ、かぼちゃ、ごま、さくらの六種類の餡の味が楽しめる。串あげまん(一本百七十円)もある。カリッとした食感と甘さ控えめの餡、これが江戸時代の味かと思えばなんとなくありがたくなる。

 このあげまんを、洋風化したのがあげまんソフト(五百円)。串あげまん用の小さめのあげまん五個を、ソフトクリームと合わせた。揚げたてのあげまんの温かさとソフトの冷たさの組み合わせが、なんとも不思議な味。小さいころから実家で親にあんこ作りを手伝わされたという加藤さんの自信作で、三年かけて開発して商標登録も取得したそう。

 また、寒天黒豆どら焼き(一個百八十円)にも、あげまんとともに根強いファンがいる。道産黒豆を蜂蜜でコトコト煮詰めて手包みした、添加物なしのどら焼きだ。

 定休日は水、木曜日。営業時間は午前十時~午後五時。(フリーライター・吉木俊司)

ケロコのひとことメモ

 かとうやの「あげまんじゅう」が好き。ちょっと久しぶりに行ったら、目に飛び込んできたのが「あげまんソフト」。ランチを食べたばかりでこんなに食べられない、とブツブツ言いながらも頼んでしまった。

 すごいボリューム。あげまんが5個も入って、その上と下にソフトクリーム。あげまんをつまむと、あったかい。素揚げをしてるんだ。ソフトクリームをつけて食べたら、おいしいこと。ペロッと食べてしまった。

 次々にお客さんが来て、常連さんは椅子に座ってくつろいでいる。いい空間だ。寒天黒豆どら焼きも絶品。また買いに来なきゃ。

2021年10月19日号掲載