自慢するわけじゃないが、旅行記、紀行文は、そこそこ得意だと自認していた。だが、今回の旅については書き上げる自信がまったくない。初のヨーロッパ、北欧の旅から帰国して一週間が過ぎたのだが、何から書き始めるのか、悶々と考えあぐねている状態なのだ。

 旅は、旭川デンマーク協会(大矢二郎会長)の設立三十周年を記念して企画された。私がなぜ、この会の会員に名を連ねているのか、自分でもよく分からないのだが、おそらく大矢会長が大学の同窓(私は中退だが)で、大矢会長が今は解体されて跡形もない、市民から「赤レンガ庁舎」と呼ばれて愛された旧旭川市庁舎の存続活用を求める運動を牽引していたから、その取材の中で誘われたか、入り込んだかしたのだろう。まっ、とにかくデンマーク協会なる団体が創設されて三十年の節目にデンマークに行こう、という旅行だ。

 私事だが、娘がフィンランドに住んでいる。亭主は日本人で、絵を描く仕事をしている。一緒になって二年ほどで夫婦でフィンランドに留学し、そのまま住み着いて、もう十年近くになる。一度、訪ねてみたいと思っていたのだが、四年前に半年に及ぶ入退院を繰り返すという大病を患い、果たせないでいたから、ついでに…、などと不埒(ふらち)なことを企んだのが運の尽き、ということなのだ。

 五月十一日から十九日、八泊九日という旅程で、スウェーデンとデンマークを訪れた。ざっと旅程を記すと、十一日午後に旭川空港を飛び立ち成田、あるいは羽田経由で、スウェーデンの首都ストックホルムのホテルに集合し、十五日朝、電車でデンマークの首都コペンハーゲンへ。十八日、コペンハーゲン空港から各自、帰途へ。一日早く、ロンドンにサッカー観戦に向かった方もいたが。

 メンバーは女性五人、男性五人の計十人。ほとんどは東海大学旭川キャンパスの出身者で大矢会長の教え子たち。つまり大半が建築の専門家である。

 若いときから、あてのない旅、ふらりと旅に出て気ままに歩くとか、憧れではあるけれど、とても苦手。といって、時刻表を片手に綿密に旅行の計画を練る、というタイプでもない。大人になってからは、会社の社員旅行とか、付き合いの観光旅行とか、仲間内の旅とか、身ひとつで参加すれば、すべて“お任せ”の旅行しか経験していない。今回も、十人が一緒に動き回る団体旅行だとハナから思い込んでいたのよ。それが、大間違い。

 

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