「反対の意見や批判ばかりで、そもそもどうしてダム計画があるのかとかわかりやすく書いているところがなくて、2chの文章読んでるみたいですね(´∀`)田舎のぶんやなんてこんなものなの? この間の住民説明会について知りたいなと思って携帯で検索していたらヒットしたので読んでみたけど、賛成するも反対するも何も参考になりませんでした。 批判する前によく勉強してくださいo(^▽^)o」

こうしたメールが時折、届く。もちろん、匿名。お住まいも、年齢も、性別も、もちろんご職業も、一切不明。その卑しい精神はストーカーの無言電話の所作と酷似する。そうそう、石原東京都知事の批判を書いた時には、ものすごい数の匿名メールが、多分、全国から押し寄せたっけ。

で、今回の御仁は、天塩川の支流の枝川、下川町を流れる清流サンル川に計画されているサンルダムについて、私が過去に本欄で書いた文章について、あるいは主張について、何かご不満があるのだろう。名を明かさない手紙など書こうとしたこともない私としては、何を意図して送り付けて来られるのか理解できない。ただ、いくら鈍チンの私でも、傷つけようとしているんだなと、その目的だけは感知できる。こちらの末梢神経を目の細かなやすり紙で擦るかのような、中々手練(てだれ)の文章である。

以前は、「匿名でいちゃもんつけて来るな。こちとら名前を明らかにして書いてるんだ。勝負するなら、堂々とかかって来い。受けてやろうじゃないか。憶病の、卑怯者めが」などと、返信メールを送ったこともあるが、その後のやり取りが、果てしない消耗戦になることを知ってやめた。

それにしても、「田舎のぶんや」って、中々センスの良い呼び方を考えてくれたじゃないか。「村のかじ屋」に通じる語感。よし、これから都会の方とお会いした時は、「田舎のぶんやです」と一言添えて名刺を交換しようっと。枕は、ここまで。

過日、美瑛町白金温泉のホテルに泊まった折、部屋のテレビのスイッチを入れると、聞き慣れない言葉が流れてくる。見れば、韓国語の番組で、丁寧に日本語の字幕が付いている。あらら、と思い、チャンネルを回してみると、中国と台湾の番組も放映しているではないか。ホテルのスタッフに聞くと、「中国、台湾、韓国からのお客様が増えたのに合わせて導入しました。日本に旅行に来て、母国の番組が観られる、母国語を聞けるというのは、安心感につながると思います。私たちでも、海外に行った時に、衛星放送でNHKのニュースを観たりしたら、何だか、ホッとしますでしょう?」とのことだった。

ここ数年の間に、すっかり全国ブランドになってしまった旭山動物園のお陰で、国内だけでなく、海外からも観光客が押し寄せている。ホテル業界、お土産屋さん、菓子メーカーなど、思わぬ特需に沸いている。その一方で、「このブームがいつまで続くか。旭山人気で市外からお客が来ている間に、第二、第三の旭山、旭川の観光名所を産み出しておかなければ」との声も聞かれる。だが、そう安々と、海外にまで波及する磁力を持った“名物”を創り出せるとも思えない。

六月二十七日付の読売新聞・くらし教育面の連載「教育ルネッサンス」に、「当世留学生事情」のタイトルで「留学生の受け入れに積極的にかかわる自治体がある」との記事があった。大分県別府市の取り組みを紹介している。同市には学生の半数が留学生という立命館アジア太平洋大学(APU)がある。同市は、子どもを抱えて留学する外国人留学生を支える様々な仕組みを作ったり、アジアやアフリカ諸国の大使を招いてサミットを開くなど、情報発信に努めているという。その結果、大分県の〇六年の留学生数は、三千五百八十七人。人口比で見ると、四万人余りの東京都に次いで、全国二位だ。

「これだ」と感じたのは、別府市は構造改革特区の制度を活用して、公営住宅の空き室を留学生に提供できる「留学生特区」の認定を受けたこと。現在は、特区だけではなく、全国どの自治体でもこの仕組みを使うことができるようになったそうだが、実際に使っているのは別府市だけだそうな。私が知っている中国からの留学生が、家賃の高さを嘆いていたことを思い出した。彼らに、市営でも、道営でも、雇用促進住宅でも、その空き室を安価な家賃で提供できないものか。言うまでもなく、留学生は母国へ帰る。読売の記事中にも別府市職員の話としてあったが、彼らはスポークスマンとしての役割を自然と果たすだろう。もしかしたら、第二の故郷と思ってくれるかもしれない。なんたって大学が高専や短大も含めて六つもあるまちなんて、地方にそうそうないんじゃないか?

行政が発想すべきは、こうしたことではないのか。目先の「旭山の人気が衰退したらどうする」は、民間が考えればいい。「まち」として、海外から旭川にやって来る学生たちを受け入れる態勢、姿勢づくり。使える制度を探し出したり、解釈の幅を少々広げたりするのは、行政マンのお得意じゃないか。「第二の旭山」は、地域の特性を生かした、一見地味で時間がかかりそうな、そんな施策ではないのかな――。

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