「市内中心部 自営業 79歳のファンより」という差出人の方からハガキが届いた。二月三日付の本欄を読んでの感想。自慢する意図はないが、なにやらホンワカさせられる文面だったので紹介させていただく。

――朝青龍のモンゴルの旗のテレビは残念ながら見ませんでしたが、私は朝青龍の隠れファンです。主人も息子も娘も反対派ですから絶対に気づかれない顔で見ています。朝青龍のきかん坊な性格と、取組前のあの迫力あるポーズが好きです。今場所は本当に楽しく興奮して見ました。あのガッツポーズは駄目ですか?

お通夜のお坊さんの説教は最近は苦痛以外ありません。私の年のせいか、それともマイクの使い方が悪いのか聞き取れないし、面白くないので長く感じ、いつもいらいらして時計を見てしまいます。私の若い頃、名僧と言われた青井さんというお坊さんのお説教は二度聞きましたが、目玉ぐりぐりで百面相をしますので会場がいつも沸きます。大きな声で三~四分でしたが、聞きごたえのある楽しく面白い内容で、お通夜を忘れそうでした。また青井さんだったらいいな等と思ったものでした。今はその様なお説教は聞いた事はありません。かの有名な医大の故並木教授が、スピーチは三分が限度と書いてました。お通夜の説教も有難いと思っている人がいるのかな…と考えていましたが、工藤さんの文を読み胸のつかえがおりました。もっともっと毒づいて下さい――。

本人は、毒づいているという意識はないのですが…。枕はここまで。

次ページにあるように、旭川市は新年度予算に緊急雇用対策として、九千五百六十二万円を計上した。市営住宅の改修工事の発注などで、受注業者が雇用を確保することと、市が臨時職員として採用し、パソコンによるデータ入力や除雪、市有林の枝打ち作業などを行うという。それらの「職づくり」は緊急避難としての意味では一定の役割を果たすだろう。しかし、あくまでも一時的な救済策だ。雇われる側はもちろん、お金を出す市にとっても、使ったお金が将来にわたって生きなければ意味がない。

一、二年のうちに寿退職を目論む妙齢の女性ならば、臨時職員という仕事で十分なのかもしれないが、そうでない人にとっては、正職員の補助、しかも時限雇用という労働の形は、精神的にも厳しいことだろう。派遣切りと同じように契約期間が終了した時点で、ハイさようならでは、善人ぶって救いの手を差し伸べる格好を付けただけ、ということになる。

旭川市には、全国の多くの市町村がやっているのと同じ規模の、それほど特色がない、新規就農を希望する人への支援プログラムがある。この事業にもっとお金や人材を注ぎ込んではどうだろう。後継者がなかったり、耕地を手放したがっている農家は市内にあまたある。高齢化が進行し、現在、約二千戸の農家が廃業や離農で十年後には半減するという話をよく耳にする。実際に、私の周りにもそうした農家の知り合いが少なからずいる。これらの耕地を市が借り上げるか、農協などの関係機関と連携して買い取るか、いずれにしても大胆な発想と投資で、緊急に採用した臨時職員だけでなく、全国から新規就農者を募ったらどうだろう。

農業と併せて、新年度予算に雇用対策としての「市有林の枝打ち業務」とあるが、都市林の再生に取り組んではいかがか。旭川は「家具のまち」として全国に知られる。国内だけではなく、国際家具デザインコンペティション・デザインフェアの開催によって、その名は世界レベルだと言っても過言ではない。その家具のまちが、材料となる樹木を五十年後、百年後を見据えて育てるプログラムを立ち上げる、しかも、市民が森の自然に親しめる都市林を再生しながら…。

当然、財源はどうする、という話になろう。民間企業は、大企業も零細企業も、経営者の報酬を引き下げ、社員の給与を削減して、この未曾有の不況を乗り越えようとしている。そうしなければ倒産の憂き目にあうから。三千百人の市職員の平均年収は約六百三十万円だそうな。ざっくり勘定して二百億円。その五%を「シェア」すれば、年間十億円の財源が確保できる。それくらい破天荒な発想がなければ、丸井さんや西武どころじゃなくて、旭川そのものが沈没してしまうじゃないか――。

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