いつもは政治的な発言をほとんどしない友人が、酒の席で珍しく声を荒げる。「友愛でもなんでもないじゃないか」と。民主党が昨夏の衆院選挙のマニフェストで掲げた高校の授業料無償化に関して、鳩山・民主党政権が朝鮮学校は対象外とするらしい、との報道に対して彼は怒っている。いわく――

 「北朝鮮が日本人や韓国人を拉致した問題と、日本の朝鮮学校で教育を受けている子どもたち、つまり教育と外交問題をごっちゃにしている。高校野球でも、サッカーでも、朝鮮学校のチームもちゃんと参加している。国公立大学のほとんどは、朝鮮学校の生徒の受験資格を認めているではないか。その子たちの親は、税金を払っているんだろう。形を変えた人種差別だ」と。そして――

 「去年の衆院選で、私は政権交代を望んで民主党に票を入れた。ベストではないことは、分かっていた。一つは、これまで半世紀以上にわたって政権を担当していた自民党の政治に嫌気がさした。二つ目は、ぼんやりしていて具体性がないが、鳩山さんが掲げる『友愛』という理念に、おかしな具体性がないからこそ、従来の政治手法にはない、清新な匂いを感じたから。三つ目は、他の小さな政党に投票すると死票になっちゃう可能性が高いから、だ。鳩山さんは、北朝鮮に対して強硬な姿勢を取る拉致担当の大臣の意向に引っ張られて、『朝鮮学校の指導内容が必ずしも見えない』などと無償化の対象外にするのを認めるようだ。きっと、小沢幹事長ともども政治資金の問題で支持率が急落している事情を考慮してのことだろう。だが、友愛の理念に全く反する、このような判断をすれば、私のような心理で民主党に票を投じた、少なくない有権者は、今度の選挙ではどこに投票するか分からなくなる。間違いなく、次の選挙で民主党はボロ負けする、そう断言していいよ」。枕は、ここまで。

 わがまちは今年、開村百二十周年を迎えるのだという。一八九〇年(明治二十三年)、監獄の囚人たちを使い、永山に屯田兵屋を建築し始めた年の九月、神居・旭川・永山の三つの村が設置されたと市史にある。

 その記念事業の一つとして、十月七日から五日間、買物公園を主会場に「食の祭典」的なイベントが開かれる。旭川をはじめ、道北の食材や料理を中心にした祭りになるらしい。西川市長は「農業の振興」を重要施策の一つに掲げているから、イベントのテーマに採用されるのはうなずける。ただ、その時期が、十月初旬が適当なのかどうか。

 二月八日に開かれた記念事業の実行委員会の設立総会では、イベントで中心的役割を担うであろう農業関係の委員から、異論が出た。「十月はすでに肌寒いし農産物も少なくなる時期だ」「八月の旭川夏まつりと同じ日程にできないか。その頃なら収穫物の量も多い」などなど。

 総会開催を伝えた本紙二月十六日付の記事は「事務局の市総合政策部が、これらの声をどう考慮し反映させるのか、注目される」と結んでいた。だが、私は記事を書いた記者に「日程はコンクリートだろう。変更はないよ」と予測した。後日取材した記者の報告によれば、「すでに周辺の首長たちに記念式典などのスケジュールを知らせてあって、十月の食の祭典は予定通りだそうです。もともと米を中心にしたイベント展開を考えていて、野菜の収穫時期は念頭になかったようです」とのことだった。

 十月といえば、稲刈りが終わり、本州への販路拡大を目指す農業法人や関連団体は、首都圏や関西の百貨店が企画する「北海道物産展」に出店する時期でもある。米を中心に据えるとのことだが、旭川や近郊で産する野菜のグレードが高いことは周知のことだし、地元で開く規模の大きなイベントは、さらにPRする絶好の機会となるはずだ。

 委員の一人は、「せめて九月初旬なら」と苦笑いしつつ話した。実働部隊となる現場の農業者の意見や事情よりも、行政主導によるスケジュールを優先する、従来通りの手法。「市民との共働」を掲げる西川市政としては、もう少し丁寧な組み立てがあっていいと思うなぁ。

ご意見・ご感想お待ちしております。