前週の本欄「北海道に新幹線は本当に必要なのか」を読んだ方から、手紙二通が届いた。「私の考えは、やはり変じゃなかった」という六十代の男性からの手紙の要旨を。

 ――他の新聞を読んでも、テレビのニュースを見ても、北海道に新幹線は必要不可欠なのだ、という前提で記事やニュースが組み立てられていると感じ ていました。編集長の「賭けてもいい。北海道の赤字はさらに増え、札幌圏の一人勝ちは揺るぎないものになる。そのための新幹線計画と言っていい。こんなこ とって、許されるんだべかぁ」という言葉に、あぁ私の考えは、やはり変じゃなかったんだと、安心しました。

 新幹線が開業すると、高速道路と同じことになる、いやもっと負の影響は大きくなるのではないか、私はそう考えています。小さな町や村の行政、議 会、経済団体、農業団体、さらに市民団体までが建設期成会なるものを作らされて、「夢の高速道路よいらっしゃい」などと大合唱し、それが完成した結果、ど うでしょう。車はみんな高速道路に乗って町も村も素通りです。それまで小規模・零細とはいえ経営が成り立った食堂もドライブインもガソリンスタンドも商店 も、ことごとく廃業せざるを得なくなりました。第三セクターが運営する「道の駅」でさえ、高速道路無料化によって存亡に関わるほど客足は減ったのです。

 JR北海道が、新幹線が札幌まで延伸すると同時に、在来線の函館―小樽間の経営を分離するのは、編集長も書かれていたように、在来線が儲からなく なるからです。つまり、お客が在来線に乗らなくなる、経営が成り立たなくなるということです。その間違いなく赤字になるからJRが投げ出す鉄道を北海道や 沿線自治体が出資してつくる第三セクターが経営するというのです。北海道の借金は五兆七千億円、道民一人当たり百万円もあるというのにです。なぜ、そんな 無理をするのかと言えば、在来線沿線の自治体がJRの経営分離に同意しなければ、国が新幹線の着工を認めないからだそうですね。

(工藤 稔)

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