弊社の記者の一人が、「まったく、笑うしかないよなぁ」と苦笑いしながら、五日付の読売新聞を見せた。指の先に、週刊新潮の広告。▼もう一人の愛人が告白 「 」のヘソの下は紳士じゃない! 鈍チンで、このところプロ野球への興味が極度に薄れている私は、「 」の空白の意味が分からない。半ばあきれ顔の彼は、今度は朝日新聞のページをめくり、同じ新潮の広告を見せた。

 ここまで来て、やっと分かった。なーるほど。「 」の中には、原辰則の三文字が入るのね。有名人の下ネタなどどうでも良いし、「もう一人」の意味も知りたくないけれど、日本最大の購読部数を誇る読売新聞が、傘下の読売巨人軍監督のスキャンダルが載った週刊誌の広告を「改ざん」した、そこまでやって恥じない神経って、別の意味ですごい。確かに、笑うしかない。

 この笑うしかないっていう感覚、少し前の自民党総裁選の折にも感じた。週刊誌を取り上げたついでに言えば、三日付各紙に載った週刊ポストの広告には「結局、安倍かよ~ という、とてつもない空虚感」の大見出しが踊った。その野党・自民党の総裁を選ぶ選挙、党所属の国会議員と限られた党員・党友しか関われない、一般国民には投票権がない選挙にもかかわらず、新聞もテレビも、ここまで丁寧に、細やかに、温かく報道する必要があるのかと、首を傾げた。

 特にテレビは、「結局の安倍さん」を筆頭に、集団的自衛権と憲法改正を声高に叫ぶ姿を延々と放映し続けた印象が強くある。五人の候補は、いずれも「原発ゼロは無責任」の主張で一致していた。だから国民一般の最大の関心事である「原発の行方」については、サラリと流す程度。それを追及しようとする報道も、私が知る限りほとんど皆無だった。

(工藤 稔)

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